軽SUV市場で高い人気を誇るスズキ「ハスラー」に対抗し、2020年に誕生したダイハツ「ハスラー」は、色々な面でライバルとは「逆張り」を狙い誕生したといいます。どういうことでしょうか。

軽SUV市場はまだまだ「伸びしろ」アリ!?

 アウトドア志向の高まりを受け、各メーカーから大小さまざまなSUVが揃い熾烈なライバル同士の競争が繰り広げられています。
 
 なかでも軽カテゴリーにおける代表格、スズキ「ハスラー」は根強い支持を集めていますが、ダイハツ「タフト」は、ちょっと変わった戦略で対抗策をとっていました。

 ハスラーは、2013年に登場した軽SUVです。

 軽の中核ポジションに位置するハイトワゴンカテゴリーに属しますが、その代表格でもある「ワゴンR」をベースにしながら、全く異なるSUVテイストの内外装デザインを特徴とします。

 そのモチーフは、同社の本格的な軽四輪駆動車「ジムニー」などから継承したもの。なかでも丸いヘッドライトが象徴する、全体に優しい丸みを帯びたスタイリングはちょっとレトロな雰囲気もあり、老若男女問わず人気を集めました。

 その結果、主力のワゴンRや軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」と並ぶ販売台数を記録し、スズキ軽の3大車種と位置付けられるほどのポジションへと成長を遂げています。

 そんな人気のハスラーに対抗すべく、ダイハツが2020年6月に投入したのがタフトです。

 スズキとダイハツは古くから激しいライバル関係にあり、例えばワゴンRがヒットすれば、すかさずダイハツも同様のコンセプトの「ムーヴ」で対抗するといったように、各カテゴリーにはそれぞれ対抗車が存在し、販売合戦を繰り広げています。

 ハスラーは2019年12月、初代のコンセプトを受け継ぎフルモデルチェンジしていますが、タフトはその半年後という、絶妙なタイミングで登場しました。

 最新のDNGAプラットフォームをベースに開発され、前席の頭上いっぱいに拡がるガラスルーフ「スカイフィールトップ」を全車で標準装備したのが最大の特徴です。

 天候に関わらず、オープンカーのような圧倒的な解放感を得られるとともに、シェードを閉じておけば通常のモデルと変わりありません。

 加えて、全体に四角さを強調したスタイリングも、タフトの大きな特徴として挙げられます。

 その狙いについて、ダイハツの開発者は次のように説明します。

「SUVらしいタフさや力強さを表現するため、スクエアなデザインを取り入れました。

 これは、2代目ハスラーがキープコンセプトで登場すると見越したうえ、あえて四角さを強調した面があります』

 他社の大ヒット作に対抗する場合、近いコンセプトを採用するのが一般的なところ、あえて逆張りを狙い勝負したわけです。

 こうした施策には、明確な意図があったといいます。

「軽SUVの市場はまだまだ伸びる見込みがあることから、同様の表現ではなく、異なる路線を狙いました。

 そうすることで、ライバルとともに市場全体のボリュームを拡大していきたいと考えます」

※ ※ ※

 タフトは、660cc 直列3気筒の自然吸気エンジンと、同ターボエンジンの2タイプを用意し、それぞれFFモデルと4WDモデルが設定されます。

 消費税込み価格は、132万円から173万2500円までとなっています。

 加えて、メッキ加飾などを施した特別仕様車「ダーククロム ベンチャー」「クロム ベンチャー」も用意され、こちらは151万8000円から180万4000円までです。