以前、自転車の重大な事故が問題視され、交通違反の取り締まりが変わると報道されていましたが、その後どうなったのでしょうか。

自転車に「青切符」を導入! 反則金は5000〜1万2000円程度の想定

 自転車による重大な事故が相次ぎ、交通違反を厳しく取り締まるようにするという報道を見かけたことがありましたが、その後何か変化はあったのでしょうか。

 交通ルールを守らない自転車が原因となった事故が後を絶たないことに対して、警視庁は、自転車の「青切符」を導入すると発表しました。

 青切符とは、交通違反を犯した自転車の運転者に対し、警察が交付する書類のことです。

 違反者は、青切符を交付されたら、5000円から1万2000円程度の反則金を支払うことになると想定されています。

 青切符の取り締まりの対象となるのは16歳以上。16歳以上と設定された理由は「最低限の交通ルールを知っている」と考えられるためです。

 また、原付き免許などを取得できる年齢であること、電動キックボードを運転できる年齢であることなども考慮されました。

 青切符に該当する違反行為について、警視庁の担当者は以下のように話します。

「すでに自動車において交通反則通告制度の対象となっている携帯電話使用や信号無視などの違反行為のほか、自転車固有の違反行為のうち歩道通行時の徐行義務等に違反する行為を、交通反則通告制度の対象とする予定です」

 つまり、携帯電話使用や信号無視、徐行せずに歩道通行、一時不停止、右側通行など、100余りの違反行為が対象になり、このうち事故につながる恐れのある重大な違反行為を重点的に取り締まるようです。

 また、多いのがイヤホンを付けたり傘を差したりしながらの運転や、ブレーキの効きが悪い自転車での運転、遮断機が下りている踏切に立ち入ることなどです。

 こういった交通違反をおこなっている人も少なくないため、「みんな、やっているからいいのでは?」というような感覚になってしまっている人がいるかもしれませんが、れっきとした青切符対象行為となります。

いつから青切符が導入されるのか

 以前から、自転車が原因となった交通事故が問題視されており、そのたびに自転車の交通違反に対する厳しい取り締まりが論じられていましたが、結局のところ青切符はいつから導入されるのでしょうか。

 警察庁は、自転車への交通反則通告制度の適用等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律案を通常国会に提出し、2024年3月5日に閣議決定したばかりです。

 交通反則通告制度に係る改正内容は、国会で可決成立した場合に、公布の日から「2年以内」に施行することとしています。

 したがって「2026年頃までの施行開始」が予想されますが、2024年3月時点では具体的な開始日までは決定していないようです。

 では、いま自転車の取り締まりは、どのようにおこなわれているのでしょうか。

 現状の自転車取り締まりや、青切符が導入された後の取り締まり方法などについて、警視庁の担当者は以下のように話します。

「現状、自転車の取り締まりにおいては、信号無視や一時不停止等の交通事故に直結する、リスクの大きい違反行為を中心におこなっています。

 警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や、歩行者やほかの車両に具体的な危険を生じさせた場合などは、通常の刑事手続きによる違反処理をおこなっています。

 これらの自転車の交通違反について、交通反則通告制度による簡易迅速な処理を可能とすることが今回の制度改正の目的のひとつです。

 自転車を交通反則通告制度の対象としても、重点的に取り締まりをおこなう違反行為の範囲や取り締まり方法を抜本的に変えることは、予定していません」

 自転車はクルマとは違って免許が必要なく、子どもでも乗ることができることから、交通ルールを守る意識が弱いという人もいるかもしれません。

 青切符を交付されて警察から注意を受けることで、交通違反が重大な事故につながる危険な行為であることを再認識するきっかけになるという意見もあります。

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 このように自転車の青切符は、まだ具体的な施行時期は決まっていないものの、自転車に乗る人の意識を変える良いきっかけになると予想されます。

 自転車を通学に使っている学生も少なくないため、小学生の頃から、交通ルールを守る意識を高めるようきちんと教育していく必要もあるかもしれません。