首都高の日本橋区間を「地下化」し、日本橋川の上空に何もない状態にする工事が、いよいよ本格化しようとしています。どのような工事で、完成したら首都高はどうなるのでしょうか。

日本橋川の上空から「高架」が消える

 東京駅の北側を流れる日本橋川。上空は首都高の高架が張り巡らされていて、水面へ日光はほとんど当たりません。
 
 その高架を無くし、空の見える日本橋川にすべく、首都高の日本橋区間の「地下化」事業が進んでいます。
 
 いったいどんな工事で、現在どこまで進んでいるのでしょうか。

 現在、この区間では、大手町駅北側あたりで都心環状線と八重洲線が分岐。都市環状線は高架のまま川の上を東進し、八重洲線は一気に地下へ潜って、東京駅方面へ南下します。

 これを、都心環状線もまるごと地下へ潜る形に作り変え、地下で八重洲線と分岐する形になります。都心環状線はそのまま地下トンネルで東進し、江戸橋JCTで地上に顔を出すようになります。

 なお、京橋方面へ行く場合、今は江戸橋JCTで南下しますが、このランプは最終的に廃止されます。地下化した都心環状線は、江戸橋でまっすぐ向島線へ直通していく形に変わります。京橋方面へは、八重洲経由の新ルート「新京橋連結路」が整備予定です。

 さて気になる進捗ですが、今までは準備として、途中にある江戸橋出入口と呉服橋出入口を廃止して、まずこれらのランプを撤去していました。川の中にある橋脚やその基礎をなるべく減らすことで、川の断面が広くなり、水位を下げて本工事がやりやすくなるのです。

 2021年から続いていた撤去工事がほぼ一段落し、2024年度にはいよいよ地下化の本体工事が始まっていきます。橋桁撤去は2023年12月に終わり、あとは残った橋脚を一本一本地道に撤去する作業のみ。2月時点で呉服橋の最後の2本の撤去が終わっています。

 地下トンネルの工法は工区によって2種類です。地上から掘削して構造物を施工する「開削工法」と、シールドマシンで掘り進める「シールド工法」があります。

 そのうち、まずは開削工法の部分が先行してスタートします。具体的には、八重洲線分岐部のトンネル拡張部と、江戸橋JCTの地上に出る手前の部分です。

 いっぽう、日本橋川地下の深くを進むシールド区間では、今の都心環状線の本線部の橋脚基礎が邪魔で、トンネルを通せる状態ではありません。そのため「いったん別の仮橋脚で橋桁を支え、トンネルが通る部分の橋脚を除去する」という準備工事が必要になります。この工事が、開削トンネルと並行して始まる計画です。

 地下ルートの開通めどは2035年度。日本橋川の高架構造物が全て撤去され、完全に何もなくなるのは、2040年度めどというスケジュールになっています。