明日はわが身、今すぐ備えよう、見直そう

 災害大国と呼ばれる日本。地震や土砂崩れ、洪水などさまざまな災害がいつどこで起きてもおかしくない環境で私たちは生活しています。発災時、家族で必要最低限の暮らしができるよう備えておきたいのが防災グッズ。なかでも避難の際に持って出る「非常用持ち出し袋」は用意しておくと安心です。毎年災害のニュースが報道される中で、すでに用意している人も多かもしれませんが、たまには中身を見直してみることも大切。本記事では、非常用持ち出し袋に必要な基本のアイテムと、ぜひ入れておいてほしいおすすめのアイテムを紹介します。

ローリングストック形式でそろえる

非常用持ち出し袋の使い方、そなえ方

 非常用持ち出し袋とは、災害が起こった際の緊急避難時に持ち出す非常品を入れたバッグやリュックのこと。生活用品や食料品など、しばらくの避難生活を送る上で必要となる最低限の物資を詰め込みます。非常用持ち出し袋の保管場所は、玄関や車の中など逃げる際に目に付く場所がおすすめです。

 災害発生後3日間は救援物資が届きにくい期間とされ、自分たちで物資を賄う準備をしておかなければいけません。そのため、物資は最低でも3日×家族の人数分を用意しておくことが望ましいとされています。ただし、非常用持ち出し袋の重さは男性で15kg、女性で10kg程度が目安とのこと。これ以上重いと避難に支障が出ることも考えられるので、重さにも注意が必要です。またこの範囲内であっても、運ぶのに耐えうる重さは人によって違うため、一度持って歩いてみるなどして確認しておくことをおすすめします。

 非常用持ち出し袋は「ローリングストック形式」で備えておきたいところ。これは、日常品を多めに購入して自宅に備蓄しておき、消費したものをさらに買い足しておく方法です。この方法で非常用持ち出し袋の中身を適宜入れ替えることで、賞味期限や消費期限切れのアイテムが含まれてしまうことを防げたり、非常時にも慣れているものを食べられるといったメリットがあります。

常用持ち出し袋に入れたいアイテム

非常用持ち出し袋に入れたい「基本のアイテム」27個+3

 それでは、非常用持ち出し袋に入れたい基本のアイテムを紹介します。どんなものを入れるのかイメージができていない人は要チェックですよ。すでに非常用持ち出し袋を用意している人も、次のアイテムが入っているか確認してみましょう。

 以下の一覧を自身のスマートフォンのメモ帳などに残して、いつでも見られるようにしておいてください。

●食料品(常温保存が可能なもの。普段から食べ慣れておくのがおすすめ)

(1)水(1日あたり1人3L)
(2)ご飯(アルファ米)
(3)レトルト食品や缶詰、インスタントラーメン
(4)お菓子

●生活用品

(5)防災用ヘルメット
(6)服、下着
(7)レインウエア
(8)ひも無しズック靴
(9)懐中電灯(手動充電式が便利)
(10)携帯ラジオ(手動充電式が便利)
(11)電池、携帯充電器(携帯電話を機種変更した際には充電器タイプを見直す)
(12)ライター、マッチ、ろうそく
(13)ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬などの救急キット
(14)使い捨てカイロ
(15)防災用ブランケットや毛布
(16)軍手
(17)洗面用具
(18)歯ブラシ、歯磨き粉
(19)タオル
(20)ビニール袋
(21)ノート
(22)マスク(感染症対策として必須)
(23)手指消毒用アルコール
(24)石けん、ハンドソープ
(25)ウェットティッシュ
(26)体温計
(27)通帳や現金、パスポート、運転免許証、健康保険証、診察券、マイナンバーカード、印鑑などの貴重品

●その他家族の状況に合わせて必要なもの

 基本のアイテムに加えて、その他、家族の状況に応じて必要なものもあります。以下の中でも必要なアイテムは人それぞれ違うかもしれませんが、参考にしてみてください。

(28)子ども用のアイテム(ミルクや使い捨て哺乳瓶、離乳食、紙おむつ、おしりふきなど。マザーズバッグをもう一つ作るようなイメージ)
(29)女性用のアイテム(生理用品やサニタリーショーツ、おりものシート、中身が透けないごみ袋、防犯ブザー)
(30)高齢者用のアイテム(大人用紙パンツ、補聴器、入れ歯、入れ歯洗浄剤、持病の薬、お薬手帳のコピー)

子どもが喜ぶもの、大人が癒やされるものなど+αがメンタルを楽にしてくれる

ちょっとの準備で避難生活でメンタルが楽に…用意したい「+α」

 災害時には、たとえ避難できている状況であっても心に大きなストレスが掛かります。ほんのわずかでも心が休まるひとときを作るために、非常用持ち出し袋に気分が上がるような特別なアイテムを入れるのもおすすめです。

 好きな食べ物や好きな本、趣味のアイテム、おしゃれな防災グッズなど、日常で気分を上げるために用意しているアイテムを思い出して入れてみましょう。特に食料品では、カニ缶をはじめとするちょっと高級な長期保存用食品を入れておくと少し心が癒やされるかもしれません。

 子どもがいる家庭では、子そもが喜ぶようなご飯やおやつ、おもちゃなども選びたいところ。避難所生活を考えると、好き嫌いが激しくなりがちな子どもが食べられるものが少なかったり、遊べるおもちゃがなく上手に時間を過ごせなかったりすることも十分に考えられます。子どもがストレスなく過ごしてくれることで、親の心も幾分か軽くなることでしょう。

 避難時にはストレスを抱えたり何らかの我慢をしたりしながら生活を送ることになるはず。その負担をわずかでも少なくするために、体だけでなく心も健康に保てるアイテム選びも意識してみてください。

※参考:
首相官邸、京都府長岡京市、内閣府、東京都、神奈川県山北町、日本赤十字社の各公式サイト

(笠原加帆)