「花祭り」どのようなことをするの?

 4月8日(月)に行われる「花祭り」は別名「灌仏会(かんぶつえ)」とも言われています。仏教の開祖であるお釈迦様(ブッタ)の誕生を祝うため、宗派に関係なく行われる祭りです。

 この日は境内に花を飾った小さなお堂「花御堂(はなみどう)」が作られ、その中に生まれた瞬間のお釈迦様を模した誕生仏が安置されます。この誕生仏に柄杓で救った甘茶をかけてお釈迦様の誕生を祝うとともに、無病息災と子どもの健やかな成長をお願いするのです。寺院によっては、参拝者に甘茶が振る舞われることもあります。

 また、伝統的な衣装を着た子どもたちが、背中に花御堂を乗せた白い象と一緒に町内を練り歩く稚児行列が行われることもあります。

なぜ4月8日に行われるの?

「花祭り」は毎年4月8日に行われます。これは、お釈迦様が誕生したのが、紀元前463年4月8日だとされているため。

 仏教を信仰している国では広く行われている花祭りですが、国によって開催される日が異なります。韓国や日本同様に、中国を通して仏教が伝わった国々では、旧暦の4月8日に花まつりを行います。日本と同じ4月8日ですが、新暦と旧暦の間にはおよそ1カ月の違いがあるため、実際は5月8日に行うことが多いようです。インドやネパール、スリランカ、ベトナム、ミャンマー、タイなどでは、陰暦の2月15日(5月ごろ)に行います。

「花祭り」お釈迦様の誕生シーンを再現した祭り

 お釈迦様(ガウタマ・シッダールタ)の誕生に関しては諸説ありますが、紀元前5〜6世紀ごろに現在のインドとネパールの国境付近にあった小国「ルンビニー」の花園で、釈迦族の王の息子として生まれたとされています。

 お釈迦様の母親のマーヤーは、長く子どもに恵まれませんでした。ある日、6本の牙を持つ白い象が天から降りてきて右脇に入る夢を見たことで懐妊したと言われています。

 マーヤーが里帰り出産のために故郷に戻る途中にルンビニーの花園で休憩をしている際に、お釈迦様はマーヤーの右脇から生まれました。この瞬間、9頭の龍が天から甘露の雨を降らせ誕生をお祝いし、生まれたばかりのお釈迦様は7歩進んで「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と宣言されたと言われています。

 お釈迦様が生まれた花園は花御堂、誕生仏に注ぐ甘茶は九頭の龍が注ぐ甘露の雨、稚児行列の象はマーヤーの夢に出てきた6本の牙を持つ白い象を表しているのです。

4月8日は寺院を訪れ、甘茶をいただいて

 花祭りに興味を持った人は、4月8日に寺院に行ってみるといいかもしれません。宗派を問わず祭りを行なっていますが、全ての寺院で行っているわけではないため、事前に電話で確認をするか、ホームページをチェックするといいでしょう。

 寺院を訪れる時間のない人は、甘茶を作って飲んでみましょう。甘茶と聞くと緑茶に砂糖を入れたものをイメージする人もいるかもしれませんが、全く別のものです。

 花祭りでお馴染みの甘茶は、ほんのり甘味のある飲み物です。アマチャというガクアジサイの変種の植物の葉を発酵させ、乾燥させた茶葉からできるお茶のこと。アマチャは日本固有の生薬として、薬の矯味に使われたり、口腔清涼剤の原材料として用いられていたりします。

 甘茶はお茶専門店の他、ネットショップでも購入ができます。奈良時代にはすでに日本で行われていたと言われる花祭り。ぜひ今年は、寺院で行われている祭りに参加してみてくださいね。

(水浦裕美)