ワークライフバランス」という言葉は、すっかり世間になじみましたね。でも、本当にバランスがとれている人は少数派ではないでしょうか。

特に平日、仕事のあとは、必要最低限のことだけして終わってしまいがち

「今の繁忙期が終われば、きっと…」と思っているうちに、何年も経っていたりします。

仕事をして、ダラダラして…過ぎていく毎日

かつての筆者もそうでした。

フリーランスのライターで在宅仕事が主ですが、だいだい夕方になってくると、だらけてきます。

仕事を切り上げたあとは「今日頑張ったご褒美」と称して、いろいろ食べ、動画サイトを視聴してなどしているうちに寝落ちして次の日に…という毎日。

これで満足していたのなら、いいでしょう。しかし、内心は正反対。もっと充実した時間を送りたいと考えていました。

そんな日々を打破する突破口は、数年前にはじめたToDoリストでした。

仕事に関するリストはまめに書いていたのですが、それに夜のタスクも加えたのです。これは効果がありました。

それから、さまざまな改善を重ね、今はワークライフバランスがとれた生活を送っています。

今回は、そのコツについてお伝えします。

夜のタスクを時間割にする

筆者のToDoリストはシンプルなものでした。

30日:ライフハッカーの記事作成、A社向けの企画作成、B社へ請求書郵送…

というふうに、時系列ですべき業務を書いて、終わったら消すだけでした。

これを夜のオフタイムにそのまま適用しました。

30日夜:カメラの学習(ISO感度)、C社のアプリ習得、YouTubeで英語リスニング

のような感じです。晩ご飯とかシャワーを浴びるといった、完全にルーティン化しているものはいちいち書きません

ToDoリストとは不思議なもので、いったん書いてそのままやらないでおくと、とても居心地が悪いですね。それほどモチベーションがわかなくても、夜のリストを消化するようになりました。

しばらくこれを続けているうちに、いくつかのことに気づきました。たとえば、

  • 夜は多少ダレるのは仕方ないので、あえてダラダラする時間を組み込む
  • 疲れていてもやりたいと思うことだけリスト化
  • 30分以内に終わるタスクだけにすると続けやすい
  • 長期の私的プロジェクトを小まめにやると張り合いが出る(例:30ステップで1カ月でカメラの使い方を習得)

こうした気づきが増えるとともに、夜のToDoリストは体系化していきました。最終的に、

  • ある程度、気合の要るタスクは中間にもってくる(最初は疲労があり、最後は眠いので)
  • どのタスクも30分で区切って、それ以上は時間をかけない
  • タスクの合間にダラダラする時間を5分程度設定

と、わりときちっとした時間割となりました。

時間管理アドバイザーが提唱する「イブニングプランナー」

筆者と同じ悩みを抱え、似た解決法を見いだしたのは、韓国の獣医師リュ・ハンビンさんです。

リュさんも、以前は仕事を終えて帰宅したら、食事をしてベッドに横たわり、ぼんやりとする日々だったそうです。

それが今では、YouTubeの動画を編集し、仕事関係の資料に目を通し、手話を学習し、ときには俳優や講師として活動するほどパワーアップ。時間管理アドバイザーとしても活躍しています。

リュさんの著書『人生をガラリと変える「帰宅後ルーティン」』(文響社)には、筆者の考えを精緻化した「イブニングプランナー」というものがあります。

これは、横軸が曜日(月〜金)、縦軸が時間(17〜24)のスケジュール表です。

リュさんの場合、夕食やシャワーまで書き込んでおり、空欄がないよう予定を組んでいるのが特徴。ごく日常的なこと以外のルーティンは「業務関連コラムを読む」「動画企画&編集」といった感じでシンプルに書き留めています。

こうした、きっちり決めた時間割をプレッシャーに思うかもしれません。ですが、すべきことが多いなら、「体系的に構成された日程があるほうがむしろ気楽」だと、リュさんは記しています。

マルチタスクは達成感を失わせる

ところで、仕事におけるマルチタスクの是非は、ずいぶんと前からライフハックの大きなテーマであり、今もあちこちで活発な議論が交わされています。

では、私生活において、特に夜の時間帯にマルチタスクを行なうのはどうでしょうか?

みなさんも、何をしているか思い浮かべてみましょう。以前の自分は、

  • 動画サイトを見ながら、出張の準備をし、企画を思案する
  • ニュースサイトをチェックしながら、晩御飯を食べ、明日の買い物リストをメモする
  • 部屋の片づけをしながら、海外ドラマを観て、メールの返信内容を考える

といったことをしていました。タイムパフォーマンスを考えると、問題なさそうに見えるかもしれません。

ですが、それだと映像作品を視聴して得られる満足感、晩御飯を食べる充実感、企画を思いつく達成感といった、ポジティブな感情がほとんどなくなってしまうのです。結局、あとには不完全燃焼感が残るばかりでした。

禅宗に、「皿を洗うときは、皿を洗うことだけに集中しなさい」という言葉があったのを思い出しました。これは、「今ここに生きる」ことの大事さを説いたものです。

以来、時間がもったいないと感じられても、一度に1つのことに専念するよう努めています。

今では、どうということのないタスク1つ1つが、充実した感覚をもたらすようになり、濃密な時間を過ごせるようになりました。

仕事を終えて解放的な気分になったときこそ、このような過ごし方をすることで、人生の質は上がるという確信を持っています。この時間帯は、脱マルチタスクを目指してみましょう。

──2023年9月14日公開記事を再編集して再掲しています。

心が疲れないためのメンタル習慣5つ。変化の多い4月をしなやかに生きるために | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2404-mental-methods/

習慣化の秘訣は「自己効力感」を高めること。すでに備わっている、継続する力に気付こう | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2403-motivate-yourself-by-listing-the-stuff-youre-already-do-2/

執筆: 鈴木拓也/Source: Amazon