すでにNISAを活用し、人気の投資信託に投資しているけれど、このままを続けていいのか、漠然とした不安をもっている方は、意外と多いのではないでしょうか。

今回は、人気のインデックスファンドである全世界株式(オールカントリー、以下省略してオルカン※1)・S&P500を選ぶ際のポイントやリスク、積立投資のメリットについて解説します。

※1 オルカンは三菱UFJアセットマネジメント株式会社の登録商標。

そもそもオルカン・S&P500ってなに?

オルカンと、S&P500に連動する運用成果を目指すインデックスファンド(以下省略してS&P500)は、NISAで人気の株式投資信託です※2。細かな違いはあるものの、ざっくりと違いを説明すると、S&P500がアメリカだけに投資する一方で、オルカンはアメリカ以外の国にも投資します。詳細を確認してみましょう。

オルカンは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する投資成果を目指す投資信託です。日本を含む23ヵ国の先進国と、中国やインドなどの24ヵ国の新興国の株式へ投資しています。

三菱UFJ国際投信のeMAXISSlime 全世界株式(オール・カントリー)の月報をみると、2024年3月末時点の割合は、先進国が84.3%、新興国が10.0%、日本株5.6%となっています。

全世界にまんべんなく投資しているイメージを持っている方は多いかもしれませんが、アメリカの比率が62.3%と半分以上を占めており、組入上位10銘柄もマイクロソフト、アップルと9位のTSMC以外はすべてアメリカの企業です。アメリカとその他の国に投資しているというイメージを持っておきましょう。

一方、S&P500には、アメリカの企業に幅広く投資できるメリットがあります。

対象インデックスであるS&P500種指数は、アメリカの代表的な企業500社が採用されており、米国株式市場全体に対し約80%の時価総額比率を占めているため、米国市場全体を反映していると言えるでしょう。2024年3月末時点の組入上位銘柄は、マイクロソフトやアップル、NVIDIAとなっています。

※2 日経新聞「過去1カ月で資金流入(購入)が多かったファンドのランキング」1位オルカン、2位S&P500

直近はS&P500がやや優位

オルカンとS&P500は、どちらも長期的に上昇しています。過去のパフォーマンスを比較すると、中国などの新興国の経済成長が目立った2000年から2011年まではオルカンのほうが優位でした。

一方で、2012年から直近の2023年までは、GAFAMやテスラなどハイテク企業が活躍し、S&P500のほうが高リターンになっています。なお過去運用成果は、将来の利益を約束してくれるわけではないため、過信は禁物です。

今後どちらに投資するかは予想する未来次第

オルカンとS&P500のどちらかを選ぶ際のポイントは、将来の見通しです。インドや中国などの新興国経済に期待する場合はオルカンを、ハイテク産業などのアメリカ企業が今後も発展し、アメリカ一強になると予想する場合は、S&P500に投資してみるのがよいでしょう。

元本割れのリスクは?

投資を続けていると、資産が目減りするタイミングが来ます。下落した際に慌てないように、目安を知っておきましょう。オルカンとS&P500のそれぞれに、100万円を一括投資した場合の、過去の損失額を確認してみましょう。

・コロナショック直前〜2022年4月までの期間:元本100万円が、S&P500は80万円に、オルカンは78万円に、一時的に減少した。

・リーマンショック直前〜2022年4月までの期間:元本100万円が、S&P500は41万円に、オルカンは38万円に、一時的に減少した。

金融・経済危機の後は、株価が大きく回復し、元本を大きく上回る運用成果が出ているものの、一時的に資産が大きく減少する可能性があることを知っておき、余剰資金での投資を心掛けましょう

積立投資は元本割れ期間の低減が期待できる

投資の基本として、長期・分散・積立投資が挙げられます。しかし実は一括投資の方が、上昇相場の時に投資効率がいいため、株価が値上がりしているタイミングでは「できるだけ早く、たくさん投資してしまおう」と焦ってしまいがちです。しかし、一括投資には高値掴みの危険があり、相場が下がりはじめると、損失がどんどん膨らむ危険性が。

積立投資であれば、高い時は少なく、安い時は多く購入できるため、下げ相場に強くなります。また、期間の取り方で結果は異なるものの、過去の運用成績を比較すると、株式インデックスのリターンは、積立投資のほうが一括投資よりもリターンが高かったという試算もあります。投資初心者の場合は、まずは積立投資を検討しましょう。

結局、長期投資がおすすめ

先ほどの100万円を一括投資した場合の試算では、リーマンショック直前〜2022年4月までの期間に、一時的に大きく元本を損失しているものの、2022年4月時点の最終残高は、S&P500は404万円に、オルカンは249万円まで上昇しています。

今後も下落した後に必ず株価が戻るとは言えないものの、複利効果も期待できるため、長期的な目線での資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。

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山田ももこ

ファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、アセットマネジメント会社に入社。上場企業の管理部門を経て、ライター・編集として独立。「とっつきにくいお金の話を分かりやすく」をテーマに、資産形成や投資について伝えることを得意としている。

※本記事は2024年4月16日時点の情報です。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行なってください。

Source: 日経新聞,三菱UFJ国際投信(1,2),ニッセイ基礎研究所(1,2)