最近増えているという「売らない店」をご存知でしょうか? 百貨店にまで拡大しているというこの店舗形態について今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』で、著者の理央さんが紹介しています。
なぜ売らない店が増えているのか?百貨店に学ぶ真のオムニチャネルと顧客体験の重要性“売らない店”が百貨店へ拡大しています。
米国発のスタートアップ企業の、b8ta(ベータ)というD2C企業が火付け役で、自ら出店していることに加えて、そのノウハウの外販を始めたとのことです。
「売らない店」のコンセプト「売らない店」とは文字通り、商品を直接販売しない店舗のことを指します。
ここでの主な目的は商品を売ることではなく、商品の魅力を伝え、その価値を顧客に理解してもらうことになります。
顧客が店舗で試着や試食など実際に体験し、自然な購買体験の中で、その商品の価値を感じてもらうことで、購入意欲を高めることができるのです。
このショールーム機能に特化したリアル店舗で、店舗ではみたり触ったりでき、実際に買うのはオンラインで、というような形態の小売業になります。
日本経済新聞の5月10日の記事によると、実際に、先程のベータだけでなく、高島屋、大丸百貨店では、自店舗にショールーム機能に特化した店舗が、テナントとして入っています。
ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性「売らない店」を成功させるには、ユーザーエクスペリエンス(UX)、すなわち店頭での顧客体験の“質”が、大きな鍵になります。
たとえば、店舗自体が商品を引き立てる、舞台装置となるようなデザインの独自性が重要です。
来店者がブランドの世界観をリアルで体感できる、特別な体験を提供することが大事です。
スタッフとの対話も重要です。スタッフは商品の価値を伝えるための、重要な役割を果たすことはいうまでもありません。
商品知識だけでなく、人間的な魅力や対話能力を、兼ね備えていることが求められます。
この対話が大事ですよね。売り込みやアドバイスするのではなく、適切なタイミングで、顧客と会話のキャッチボールをすることになります。
ECにはできないことなので、とても重要なポイントになります。
実際に商品を触ったり、操作したりする、体験型のデモンストレーションができることも重要です。
訪問者が、商品の利点や機能性を体感することによって、より深く商品を理解できます。
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売り伸ばすコツショールミング効果を活用して、売り伸ばすには何をすればいいのか?について、3つの方向性を紹介します。
1つは関連商品の紹介です。
顧客一人ひとりが何を求めているのか、何が必要なのかができるようになります。
スタッフが顧客のニーズや関心を、生で理解することができるので、それに合わせた商品やサービスを、推測することができます。
そして顧客が興味を持った商品に、類似した商品を紹介することで、購入意欲をさらに高めることができます。アマゾンのレコメンデーションと同じですね。
もう1つは、オンラインとの連携です
店舗で商品を体験した後に、オンラインで購入できる仕組みを用意して、顧客が購入するまでの全ての流れを押さえておくことです。
3つめは、オフラインでしか得られない、特別な体験を提供することです。
リアルの店舗では、オンラインでは提供できない、特別な体験を提供することができます。
商品の実際のサイズ感や、質感を確かめられるし、スタッフと直接会話して、商品についてリアルタイムでアドバイスを得られる、といった具合です。
これらの体験を提供することで、顧客の購入意欲を高めることができるのです。
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顧客データの重要性このように、売らない店は、顧客体験価値をアップすることができることに加えて、顧客のデータ、特に“質的な情報”を得ることもできます。
顧客データを集める利点としては、
1.パーソナライズされた推奨ができること
顧客の購買履歴や行動パターンを理解することで、個々の顧客に合わせた商品やサービスを、提案することができます。売上増加だけでなく、顧客の満足度も高めます。
2.マーケティング戦略の最適化もできる
顧客の反応を分析することで、どの広告やプロモーションが効果的なのか、どのように改善すべきかを理解することができます。
顧客の好みやニーズを理解することで、店舗のレイアウトやサービスを改善し、顧客体験を強化することもできます。
3.在庫管理の改善
顧客の購買傾向を把握することで、どの商品がよく売れ、どの商品が在庫に余裕があるのかを、理解することができます。
これにより、在庫の過剰や不足を防ぎ、経営効率を向上させることができます。ユニクロは自らを情報小売業だ、と定義していますが、この辺りを徹底していますよね。
小売業者が顧客データを活用することは、ビジネスの成長と競争力強化に役立つのです。
ITがここまで日々の生活に浸透してくると、顧客は、ネットとリアルの境目を、分けて考えなくなります。
リアルかECかを分けて考えるのは、事業者側だけなのです。
顧客がニーズを感じ、探し、買う、という一連のプロセスでは、その境目を感じない、いわゆる“シームレス”になっています。
ここで重要なことは、どこででも売れる、と考えるのではなく、顧客が「どこででも、探して、買えて、受け取れる」にはどうすればいいのか?と、顧客を主語にして考えることです。
その意味では、この売らない店は、本来のオムニチャネルに近いですよね。
これから伸びるでしょうし、注目したいと思っています。
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image by: Frank Gaertner / Shutterstock.com
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