アムロの乗るガンダムに「あと一歩」のところまで迫った機体たち

 ガンダム史上最強パイロットとしてまず名前が挙がるのは、やはりアムロ・レイでしょう。『機動戦士ガンダム』でガンダムに乗り込んで以来、幾多もの戦いを経て、圧倒的な強さを見せつけました。

 そんなアムロにとっての好敵手といえば、ジオン軍のシャア・アズナブルやランバ・ラル、ララァ・スンといった名前が挙がりますが、実は「意外な機体」に苦戦を強いられたこともあります。今回はアムロの乗るガンダムを「あわや撃墜」まで追い詰めたジオン機を振り返ります。

●タマネギ形のヘンテコメカに大苦戦!

 ガンダムの操縦に不慣れだった序盤以降、第18話でアムロにかなりのピンチが訪れます。偶然ジオンの採掘基地を発見したアムロは、ガンダムで単騎攻撃を仕掛けました。

 そのときジオンの基地から出撃してきたのが、モビルアーマー「アッザム」です。

 モビルアーマーとは名ばかりで、タマネギ形の移動砲台に接地用ダンパーがあるだけのシンプルな機体に見えますが、実は複数のメガ粒子砲や、飛行するためのミノフスキークラフトまで備えています。しかも、この機体を操縦していたのはマ・クベ大佐で、キシリア・ザビも同乗していました。

 そのアッザムが空中から放った「リーダー」と呼ばれる砂状の粒子が、ガンダムの機体表面に付着します。その後、ガンダムを複数のワイヤーの檻に閉じ込めて電磁波を発生させたことで、ガンダムは高熱磁場に包まれました。

 このときガンダムの表面温度は4000度にも達し、機体の保護機能が自動的に作動。パイロットと回路を守るため、全エネルギーの98%を放出することになりました。

 思ったより高熱磁場が弱まるのが早かったので、アムロは難を逃れることができましたが、もう少し早くマ・クベが追撃を行っていたら結果は変わったはずです。

 それにガンダムに優秀な自動保護機能がなければ、最初の時点でパイロットのアムロは致命的なダメージを負っていたことでしょう。

●「大金星」目前だった宇宙用モビルアーマー

 第31話に登場したモビルアーマー「ビグロ」も、ガンダムを相手に惜しくも大金星を逃した機体です。

 トクワン大尉が乗り込んだビグロは、アムロのGスカイとセイラのGブル・イージーを相手にしながら持ち前の高機動、高火力で圧倒します。途中カイのガンキャノンの援護を得て、アムロはガンダムに換装し、ビグロとの直接対決に臨みました。

 その戦いのなかで、高速移動中のビグロの機体下部に、ガンダムの腕部が偶然引っかかってしまいます。そのままガンダムは引っ張られ、ビグロの生み出す強烈な加速度によってアムロの意識はブラックアウトしました。

 パイロットのトクワンは、ビグロに何か付属物がついたことに気づくと、クローアームでガンダムをつかみます。しかし、そのときの衝撃によって気を失っていたアムロが間一髪で目を覚まし、至近距離からビーム・ライフルを放ってビグロは爆散しました。

 もしアムロが目を覚まさなかったら、ガンダムはビグロのメガ粒子砲の餌食になっていたでしょう。

最愛のランバ・ラルの仇を取ろうと、クラウレ・ハモンはアムロのガンダムを追い詰める。画像は「G.M.G. 機動戦士ガンダム ジオン公国軍07 ランバ・ラル&クラウレ・ハモン」(メガハウス)

MSでもMAでもない! 意外すぎる機体に訪れた大チャンス

 対ガンダム戦でもっとも勝利に近かったジオン機は、モビルスーツでもモビルアーマーでもなく、大型戦車の砲塔部分でした。

 第21話で、亡きランバ・ラルの仇討ちに臨むクラウレ・ハモンと、ラルの部下たちは、決死の覚悟でホワイトベースに特攻を敢行します。

 ハモンは、陸戦艇「ギャロップ」のカーゴ部分に爆薬を詰め、ホワイトベースに激突させる作戦をとります。その狙いを察したアムロは、ガンダムでカーゴの突進を食い止めようとしますが、無防備なガンダムの背後にハモンの乗るマゼラ・トップが肉薄しました。

 至近距離から放たれたマゼラ・トップの主砲(175mm無反動砲)は、ガンダムのバックパックを破壊。さらにハモンが、ガンダムごとカーゴを爆破しようとした瞬間、リュウ・ホセイの乗るコア・ファイターがハモンのマゼラ・トップに体当たりしました。

 リュウの命がけの攻撃によりアムロは窮地を救われましたが、リュウの横槍がなければガンダムはマゼラ・トップに敗れていたかもしれません。

 アムロ・レイは、ニュータイプに覚醒していくにつれて、まさに無敵の強さを誇ることになります。シャアの乗る新型機「ジオング」とガンダムは相打ちになりましたが、それ以前にもジオン軍がガンダムに勝利するチャンスは何度かあったのです。