「家族に一言もなく……」身勝手すぎるキーファの行動

 2000年に発売されたゲーム『ドラゴンクエストVIIエデンの戦士たち』は、不思議な力を持つ石板で過去にさかのぼり、世界を復活させていく物語です。本作で印象に残りやすいキャラと問われると、途中で冒険の旅から離脱する「キーファ」を挙げる方も多いのではないでしょうか。

 キーファは本作の冒険のきっかけとなったキャラで、バトルでは前衛のアタッカーとして頼もしい活躍をしてくれるものの、旅の途中でライラという女性に一目惚れし、旅のメンバーから離脱してしまいます。

 急にメインアタッカーがいなくなる上に、ステータスを向上させる貴重なアイテム「たね」を与えていた場合は無駄になってしまうことから、ネット上ではキーファを「種泥棒」と呼ぶ声もありました。しかしシステム面だけでなく、キーファが離脱する際の行動自体も、実は問題だらけなのです。今回は、プレイヤーから反感を持たれているキーファの身勝手な行動を紹介します。

 キーファの問題行動として真っ先に挙げられるのは、相談のひとつもなく大切な家族と別れた点です。彼は家族である父親や妹に二度と会えないにも関わらず、一度も故郷に帰ることなく、主人公たちに事情を告げる役割を押し付けて去ってしまいます。

 当然息子が永遠に帰ってこないなど知るよしもないキーファの父・バーンズ王は、主人公たちから事情を聞き、大いに動揺していました。キーファの妹、リーサ姫においては、主人公が話す事実を信じないと否定しており、多くの人を悲しませたキーファはプレイヤーから「せめて家族には自分から伝えろ」「家族に対して不誠実すぎる」と、マイナスイメージを持たれる結果となっています。

 キーファが帰ってこない事実を告げなければならない、主人公たちの精神的な負担も相当なものでしょう。実際、バーンズ王に報告する道中で主人公が仲間に話しかけると、仲間のひとりであるガボから「王様のところ 行くの イヤなのか? なんか 暗い顔してるぞ」と心配されます。

 ちなみに、キーファは家族だけでなく、仲間にもろくに相談せず旅から離脱してしまいました。ユバール族の休息地において、突然キーファは主人公に対して「ひとりごと」と称して別れを匂わせ、間を置かずにユバール族についていくと言い出し、旅から離脱します。

 突然の別れにも関わらず、キーファは主人公に「わかってくれるよな?」と問いかけ、出現した選択肢で「いいえ」を選んでも、はぐらかされて止めることすらできません。プレイヤー側からもう少し介入できる要素があれば……と、歯がゆい思いをした方もいたでしょう。ネット上でも「せめて転職できるようになってから抜けてくれ」「マリベルがキーファを批判するのも仕方ない」などの声がありました。

 物語のラストを締めくくるキーファのメッセージにも、批判の声が出ています。エンディングでは、キーファのメッセージが書かれた石板が漁の最中に見つかりました。どんなに離れていても、主人公と友人であることは変わらないという、本来なら感動的なメッセージなのですが「序盤に離脱するからいまいち感動できなかった」「身勝手な理由で離脱しておいてこれはどうなんだ」と、批判する声もあり、最後まで物議の対象となっています。

「当初はもっとキーファに出番があったのでは」と考察する声もあり、離脱後もキーファが存在感を見せるエピソードがあったなら、と思わせる惜しいシーンと言えるでしょう。離脱時には預かった装備は返却するキーファですが、それだけでなく自身の責任を果たしてから別れることが、プレイヤーが望んでいた行動だったのかもしれません。