数字を使って社会を見ると、意外なことがわかるかも!? 統計をしっかり見ると、じつは自分が思っていたことや当たり前だと感じていたことが、実体とは違っていることもあります。数字はふだん見逃している、さまざまな側面を発見するヒントになるのです。そんな数字とイラストを使って、さまざまな事象を解説する『大人も子どもも知らない不都合な数字』(フォレスト出版)にて、数字の背景を考えながら社会問題に向き合っていきましょう。
※本記事はチャリツモ著の書籍『大人も子どもも知らない不都合な数字』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集しました。

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

養育費を継続してもらえている母子世帯、28.1%
離婚をすると、両親のどちらかが親権者となり子どもを引き取り、監護(監督・保護)・養育する責任を負います。しかし、親権者でない親も扶養義務がなくなるわけではなく、「養育費」を支払わなければなりません。
「養育費」とは、子どもを育てるために必要な費用のこと。子どもが自立するまでには、生活経費、教育費、医療費など、たくさんのお金がかかります。たとえ親権者でなくとも、養育費の支払いは親として子に対する最低限の義務です。
しかし実際は、ひとり親家庭の多くが離婚した相手から養育費を支払ってもらえていません。



2021年に厚生労働省がひとり親世帯を対象に行った調査では、母子世帯のうち「現在も養育費を受けている」と回答した割合は28.1%、父子世帯だと8.7% でした。また「養育費を受けたことがない」と回答した人は、母子世帯の56.9%、父子世帯の85.9%にもおよびました。
そもそも養育費の支払いに関してきちんと取り決めをしている人の割合は、母子世帯では46.7%、父子世帯では28.3%。取り決めの内容をきちんと文書にしているケースはさらに少ないのが現状です。
取り決めをしない理由として、最も多い回答は、母子家庭の場合は「相手と関わりたくない」、父子家庭の場合は「自分の収入等で経済的に問題ないから」でした。
養育費を得ることは、子どもの権利です。子どもの権利を守るのが、親の努めであるはずです。
※掲載されている情報は2024年2月現在のものです。
(参考)
・令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(厚生労働省、2021年)
・養育費とは(養育費相談支援センター)



チャリツモ
これまで遠く感じていた社会問題を、自分ごととしてとらえるきっかけを提供し続けるクリエイター集団。「そうぞうしよう。そうしよう」がキャッチコピー。本書のベースとなっているWEBサイト「チャリツモ」をはじめ、10代の若者が抱える性のモヤモヤにこたえる「セイシル」(運営会社はTENGAヘルスケア)や「日本財団 Instagram」など、WEBメディアを中心にさまざまな媒体の運営に携わっている。