Z世代と呼ばれる今年の新入社員は、コロナ禍の影響でリモート授業を余儀なくされ、友だちとの交流さえもオンラインで過ごしてきた世代である。そんな学生時代を過ごし、新社会人となったいま、働くことについてどのような価値観を抱いているのだろうか。


株式会社ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所が、2023年入社の新入社員4,428人を対象に実施した「新入社員意識調査*」によると、半数以上が不安や緊張を抱えながら入社式を迎えたことがわかった。


では、どのような不安を抱えているのだろうか。もっとも多かったのが「仕事についていけるか」で、学生時代とは違う社会人の生活リズムに馴染めるか、そして社会人としての基礎的なマナーを身につけられるかも、新社会人の不安要素になっているようだ。


新しい環境を迎えるとなれば、新社会人に限らず、誰もが不安や緊張を抱えるものだ。しかし、どちらかといえば社会人としてのルールやマナーには無頓着とされるZ世代であっても、学生時代と同じ感覚では通用しなくなることは自覚していることがうかがえる。


半数以上が不安を抱えて新社会人としてのスタートを切ったが、14.9%と2割には届かないものの、夢と希望を抱いて新社会人となったポジティブ派も存在する。


さて、そんな2023年の新入社員が、仕事を通して成し遂げたいことは「安定した生活を送りたい」が65.8%で、過去最高の割合となっている。


安定した生活を求める割合が過去最高となったのは、ロシアのウクライナへの軍事侵攻や米中の対立激化で、原材料価格や物流コストの高騰など、不安定な経済環境にさらされ苦悩する企業の姿を目の当たりにしていることが、影響しているのかもしれない。


そんな先の見通しが立たない時代、新社会人が目指すのは「楽しくてやりがいのある仕事」が約7割である。ただし、楽しくやりがいを感じられる仕事が、それほど身近にあるわけでではない。


入社時に感じた不安が不満に変わると、早期離職につながる可能性もある。上司やベテラン社員は、新入社員がどういう意識で仕事に取り組んでいるのかを、日々の行動や発言からつかみとる能力も求められるのではないだろうか。


■参考サイト
PR TIMES|【速報】2023年入社の新人4,428人が回答!仕事で成し遂げたいことに「安定した生活を送りたい」が4年連続増加、65.8%と過去最高の割合に


*調査概要
調査対象者 当社が提供する研修の受講者
調査時期 2023年4月1日〜4月11日
調査方法 自記式またはWEBでのアンケート調査
サンプル数 4,428人
属性 (1)性別
①男性:58.8%(2,602人)
②女性:39.7%(1,758人)
③不明:0.2%(9人)
④無回答:1.3%(59人)

(2)所属企業の従業員数規模
①1人〜50人:6.9%(305人)
②51人〜100人:14.9%(661人)
③101人〜300人:35.9%(1,590人)
④301人〜1,000人:15.3%(676人)
⑤1,001人〜5,000人:16.2%(718人)
⑥5,000人以上:5.4%(239人)
⑦不明:5.2%(230人)
⑧無回答:0.2%(9人)