2024年3月28日(現地時間)、WRC世界ラリー選手権第3戦サファリ・ラリー・ケニアが開幕する。サービスパークは首都ナイロビから北側に約100km離れたナイバシャ湖の近くに置かれ、ラリーはサバンナ特有の目の細かな砂状のグラベル(未舗装路)を舞台に行われる。ラリーは31日日曜日にフィニッシュする。

トヨタにとって2022年と2023年に1-2-3-4フィニッシュを果たした得意イベント

2024年のWRC世界ラリー選手権は、第1戦モンテカルロがティエリー・ヌーヴィル、第2戦スウェーデンがエサペッカ・ラッピと、ヒョンデの連勝でスタートした。

一方のトヨタも、まだ優勝こそないものの上位入賞を重ねて、ランキングポイント争いではヒョンデVSトヨタは互角の戦いとなっており(マニュファクチャラーズポイントは同点)、この第3戦サファリ・ラリー・ケニアでシリーズの流れがどう変わるか注目が集まる。

●2024年 WRCドライバーズランキング(第2戦終了時)

1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)48
2位 E.エバンス(トヨタ)45
3位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)29
4位 S.オジェ(トヨタ)24
5位O.タナック(ヒョンデ)21
6位 E.ラッピ(ヒョンデ)19
7位 勝田貴元(トヨタ)12
8位 K.ロバンペラ(トヨタ)11

●2024年 WRCマニュファクチャラーズズランキング(第2戦終了時)

1位 ヒョンデ 87
1位 トヨタ 87
3位 Mスポーツ・フォード 47

ただし、このサファリ・ラリー・ケニアはトヨタが得意とするイベント。サファリ・ラリーが2021年に19年ぶりにWRCのカレンダーに復帰して以来、トヨタは3連覇中で、2022年と2023年には1-2-3-4フィニッシュを果たしている。

今年に関しては、2021年と2023年に優勝したセバスチャン・オジェは出場しないが、2022年の勝者であるカッレ・ロバンペラを筆頭に、2年連続で表彰台に立っているエルフィン・エバンス、そして2021年に僚友オジェと優勝争いを繰り広げ総合2位に入った勝田貴元というトヨタの布陣は強力だ。

一方のヒョンデは、ティエリー・ヌーヴィル、オイット・タナック、エサペッカ・ラッピの3台がワークスエントリー。ここではトヨタに対して分が悪いが、好調の2024年仕様 i20N ラリー1で開幕3連勝を狙う。

なお昨年のサファリラリー ケニアでは、ライバルがタイヤのパンクやエンジンオーバーヒートに悩まされる中、トヨタが抜群の信頼性を発揮して上位を独占した。

●【参考】2023年 WRC第7戦サファリラリー ケニア 結果

1位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1) 3h30m42.5s
2位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+6.7s
3位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+2m58.5s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+3m23.8s
5位:D.ソルド(ヒョンデ i20N ラリー1) +5m05.4s
6位:O.タナック(フォード プーマ ラリー1) +9m14.4s
7位:P.ルイ・ルーベ(フォード プーマ ラリー1)+16m15.7s
8位:K.カエタノビッチ(シュコダ ファビアRS ラリー2)+26m33.4s
9位:O.ソルベルグ(シュコダ ファビア ラリー2エボ) +29m04.0s
10位:M.プロコップ (シュコダ ファビア ラリー2エボ) +38m01.1s

サバンナ特有の目の細かな砂状のグラベルは雨が降ると滑りやすい泥と化す

サファリ・ラリー・ケニアはWRCの中で最も過酷なラリーのひとつとして知られており、舞台となるステージは非常に特殊でタフだが、今年はさらにこれまでとは異なる要素も加わる。

それは過去3年間は乾季に当たる6月に開催されてきたが、今年は伝統的な開催時期である3月の下旬に移動したこと。3月のケニアは雨が多く、サバンナ特有の目の細かな砂状のグラベル(未舗装路)は雨が降ると滑りやすい泥と化し、より困難な路面コンディションでの戦いとなる。

また車両のレギュレーションが一部変更され、今年からラリー1車両に「シュノーケル」と呼ばれる吸気用のパイプを取り付けることが可能になった。シュノーケルは、クルマの高い位置に吸気口をバイパスさせることにより、深い水溜まりや砂に覆われた路面を通過する際に、エンジンが水や砂を吸い込みにくくする効果がある装備。かつてサファリ・ラリーでは多くのクルマがシュノーケルを装着して走行し、それが外観的な大きな特徴になっていた。このシュノーケルがラリーの結果にどのような影響を与えるかも興味深い。

ラリーは3月28日木曜日にナイロビの中心部でスタート。デイ1として午後2時過ぎからナイロビ近郊のカサラニで4.84kmのスーパーSSが1本行われる。

29日金曜日のデイ2はナイバシャ湖を中心に、反時計回りに「ロルディア」、「ジオサーマル」、「ケドング」という3本のステージを日中のミッドデイサービスを挟んで各2回走行。

30 日土曜日のデイ3はフラミンゴが飛来することでも知られるエルメンテイタ湖まで北上し「ソイサンブ」、「エレメンタイタ」、「スリーピングウォリアー」という3本のステージを日中のミッドデイサービスを挟んで各2回走行。全長36.08kmと今大会最長のステージも用意される。

最終日となる25日日曜日のデイ4は再びナイバシャ湖の周辺が舞台となり、反時計回りに「マレワ」、「オセレンゴニ」、「ヘルズゲート」の3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。SS16の再走となる最終のSS19「ヘルズゲート2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。

ラリーは4日間で19本のステージを走行し、その合計距離は367.76km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1267.57kmとなる。