2023年5月28日(現地時間)、F1第7戦モナコGP決勝がモンテカルロ市街地サーキットで開催され、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。2位にはアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ、3位にはアルピーヌのエステバン・オコンが入った。9番グリッドからスタートした角田裕毅(アルファタウリ)はブレーキトラブルのため後退、15位でレースを終えた。

食い下がるアロンソを下し、フェルスタッペンが選手権独走へ

レッドブルが威力を発揮する長いストレートがなく、しかも摩擦が少ない路面のためタイヤのタレも気にしなくて済む。ライバルチームが一矢報いるにはここしかないと期待していたモナコで、王者フェルスタッペンが揺るがぬ強さを見せた。

予選の状況を見れば、フェルスタッペンとアロンソの一騎討ちとなると見られたこのレース、スタートタイヤはそれぞれミディアムとハードに分かれた。「3秒のペース差があっても抜けない」と言われるモナコで、セーフティカーや終盤の雨を期待してのアストンマーティン陣営の賭けだったが、仕掛けられたレッドブル陣営は動じず。アロンソより早くタイヤ交換に入って一時的にでも順位が入れ替わるのを避けるため、フェルスタッペンの第1スティントをできるだけ引っ張っる戦略で対応する。

レースはアロンソも粘って膠着状態になったが、ここで大きな動きが起きたのはレースも半ばを過ぎた52周目あたりから降り出した雨だった。

その時点で降っているのはコース中盤の一部のセクションのみ。タイヤ交換かステイアウトか、判断が分かれる状況で、54周目終了時点で先にピットに飛び込んだのはアロンソ。ここでアストンマーティン陣営は「これ以上雨は広がらない」と読んでミディアムタイヤを装着。しかしその直後に雨足は強まってしまう。翌周にピットインしたフェルスタッペンは迷わずインターミディエイトタイヤを装着。一方、ドライタイヤでまったくペースの上がらないアロンソはもう一度ピットに入らざるを得ず、ここで勝負あった。

「マックスvsフェルナンド」の味わい深き激闘に熱狂

終盤は独走で今季4勝目を手にしたフェルスタッペンは、「簡単なレースじゃなかった。フェルナンドがハードタイヤを選んでいたから、こっちもミディアムタイヤでできるだけ長く走る必要があったし、雨の中の走りはすごく大変だった。何度か壁に当たったしね」とほっとした表情。

一方、久しぶりの勝利のチャンスを逃したアロンソは「ハードでなんとかしようと思ったけど、マックスに(ミディアムで)長く走られたから、あの時点で厳しかったね」と完敗を認めた。

これでフェルスタッペンのドライバーズ選手権でのリードはチームメイトのセルジオ・ペレスが無得点に終わったことで39点に拡大。苦戦が予想されたモナコも攻略し、3連覇に向けて独走体制に入ってきた。

次戦第8戦スペインGPは6月4日、バルセロナ郊外モンメロのカタルーニャ・サーキットで開催される。(文:新村いつき)

●2023年F1第7戦モナコGP決勝 結果

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)78周
2位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+27.921s
3位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+36.990s
4位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +39.062s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス) +56.284s
6位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+61.890s
7位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・ルノー)+62.362s
8位 55 C.サインツ(フェラーリ) +63.391s
9位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+1周
10位 20 O.ピアストリ(ハース・フェラーリ)+1周
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12位 21 N.デフリース(アルファタウリ・ホンダRBPT)+1周
15位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダRBPT)+2周
16位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダRBPT)+2周
ファステストラップ  44 L.ハミルトン(メルセデス)

●2023年F1ドライバーズランキング(第7戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)144
2位 S.ペレス(レッドブル)105
3位 F.アロンソ(アストンマーティン)93
4位 L.ハミルトン(メルセデス)69
5位 G.ラッセル(メルセデス)50
6位 C.サインツ(フェラーリ)48
7位 C.ルクレール(フェラーリ)42

●2023年F1コンストラクターズランキング(第7戦終了時)

1位 レッドブル 249
2位 アストンマーティン 120
3位 メルセデス 119
4位 フェラーリ 90
5位 アルピーヌ 35
6位 マクラーレン 17