長崎大経済学部は「地域社会×環境」をテーマにした合同ゼミを、今月開講した。行政や民間企業から外部講師を招いた講義やグループワークを通じて、ビジネスやまちづくりの観点から環境問題を学ぶ。初回はリサイクル事業を手がけるベンチャー企業、JEPLAN(川崎市)の岩元美智彦会長が、革新的なリサイクル技術で循環型社会や世界平和に貢献するビジネスモデルを解説した。

 同学部は昨年度から、実践的エコノミストの育成を目指し、経済、経営の2コースと▽国際ビジネス▽地域デザイン▽社会イノベーション−の3領域を組み合わせた新たなカリキュラムを開始。このうち地域デザイン領域の五つのゼミが、今後の地域づくりを考える上で欠かすことのできない環境問題をテーマにした講義を初めて企画した。7月まで全15回の講義がある。
 JEPLANは、ペットボトルを分子レベルに分解、再生したり、古着からバイオジェット燃料を生み出したりする化学的アプローチによるリサイクル技術で、世界中の企業と協業している。岩元会長は、石油などの地下資源を使わないものづくりに転換することで、循環型社会を実現し、紛争の原因を軽減できると強調。「日本は資源を持たないが、テクノロジーで世界平和に貢献できる。紛争をなくせるのは金でも武器でもなく、ワクワクできるアイデアや技術だ」と熱弁した。
 同学部2年の木口楓華さん(19)は「環境問題と聞くと身構えてしまうが知っている企業の名前が挙がり、身近に思えた。環境問題と平和がつながっていることも分かった」と感想を話した。山口純哉准教授は「世界で新たな仕組み作りをする人に触れてほしい」と期待した。