私たちの食生活に欠かせない野菜として農水省が定めた“指定野菜”に、2026年度から新たにブロッコリーが加わります。
長崎でも盛んに栽培されているブロッコリー。長崎県雲仙市の生産者に“魅力”や“おすすめの食べ方”を教えてもらいました。

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農林水産省は、消費量が多い野菜や、多くなることが見込まれる野菜を“指定野菜”としています。

“指定野菜”になると市場価格が大幅に下落した際の補助金が手厚くなるなど『安定供給』に繋がる一方、消費者にとっても年間を通して『価格が安定するメリット』があります。

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現在はキャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14品目が指定されていて、今回、ブロッコリーが仲間入りすると1974年のジャガイモ以来、52年ぶりの追加となります。

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他の野菜の生産が減少傾向にある中、農林水産省の統計では、ブロッコリーの出荷量は、この10年で3割増えています。

指定で“いいことづくめ”かと思いきや…

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全国7位の生産量を誇る長崎県のブロッコリー。中でも生産が盛んな雲仙市では “指定”され、『いいことづくめ』かと思いきや、生産者からは『複雑な思い』も聞かれます。

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農家 池田功さん:
「2026年から半世紀ぶりにブロッコリーが指定野菜になるということで、農家以外の方からもよかったねという声を聞きますが、その反面、ブロッコリー(の生産量)が増えすぎて “価格が低迷”するのが心配です。
その分、日本国民の食卓に欠かせない野菜になるということで“消費量が増える”ことを期待しています」

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鉄分やカリウム、タンパク質などが多く含まれ、野菜の中でもトップクラスの栄養と言われるブロッコリー。

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池田さんは土にこだわることで出来のよいブロッコリーが栽培できるといいます。

農家 池田功さん:
「土かな。毎回土の土壌診断、人間で言ったら健康診断をすることで健康な土を作ることによって根の張りがよくて肥料の吸収が上がったり、色が濃い、締まったブロッコリーができる」

ICTを活用した“スマート農業”も

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ブロッコリーの選果場です。収穫したブロッコリーは出来るだけ早く氷詰めにして出荷されます。こうすることで黄色く変色したり水分が抜けてシャキシャキ感が失われるのを防いでいます。

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JA島原雲仙のブロッコリー部会では、質と量の向上や仕事の効率化につなげようと4年ほど前からICT技術を使ったスマート農業を取り入れ、現在、3つの分野で活用しています。

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1つ目は自動選果機です。ブロッコリーの大きさや形などをセンサーで判断し、《2LからBまで》4つのサイズに振り分けます。

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振り分けられたブロッコリーは、それぞれのランクごとに人の手で箱詰めされていきますが、自動選果機のお陰で人の目による誤差や経験不足の影響がなくなり、作業効率も上がったということです。

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JA島原雲仙営農部 田中慶輔 主任:
「今までの選果よりもスピードが早くなりましたし、経験がない方でもすぐに選果に入れるところがメリットになってくる」

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長年、ブロッコリーの選果を担ってきたベテランも、大幅な時間短縮につながったことを実感しています。

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選果歴11年 御厨真由美さん:
「大きい木枠一台を、前は2人で早くても20~30分かかっていたものが、今だったらこれが10分とかでできるようになったので、すごく効率が上がっている」

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年間およそ2600トンほどのブロッコリーが、ここから県内のほか、東京や大阪などに出荷されていきます。

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データを使ったスマート農業も行われています。ブロッコリーの生産者たちが、苗を植えた時期や畑の広さなどの情報をシステムに入力することで、いつ頃、どのくらいの量が出荷できるかといった見込みをより正確に立てられる様になったということです。

JA島原雲仙営農部 田中慶輔 主任:
「きちんとした出荷予測をすることで、売り場の確保なり価格の安定に繋がってきてます」

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そしてドローン。農薬散布する際に使っており作業負担の軽減や、時間短縮につながったほか生産者の安全にも配慮して散布できるようになりました。

美味しく食べるコツは?生産者に聞いてみると…

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サラダやシチューなど様々な料理に彩りを添えてくれるブロッコリー。どんなブロッコリーが美味しいのでしょうか?

農家 池田功 さん:
「ブロッコリーを買う時にはまず色が濃ゆいやつ、そしてきめ細やかで硬いやつを買ったほうがおいしいと思います」

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池田さんにおすすめの食べ方を教えてもらいました。

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1品目。「ブロッコリーの天ぷら」です。

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池田さんが初めて食べたのは行きつけの居酒屋でした。そこからはまり、今では週3で食卓に並んでいるそうです。調理のポイントは?

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農家・池田功さん:
「生でそのまま揚げる。一回下茹でしたらびちゃびちゃになる」

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酒井晶央記者:
「花蕾(からい)と天ぷらの相性が抜群で、すごくサクサクしていて非常においしいです」

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2品目は『ブロッコリーチャーハン』

農家・池田功さん:
「(ブロッコリーは)生のまま。(レシピは)自分で考えました」

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好みの味付けのチャーハンにブロッコリーを生のまま加えて炒めることで食感も楽しめるようになります。

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農家 池田功 さん:
「栄養価も高いし、色合いもきれいやから。作ってみたら触感もよかったし」

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手軽なのは『つゆびたしブロッコリー』。茹でたブロッコリーにめんつゆと鰹節、マヨネーズをかけるだけで完成です。

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農家・池田功さん:
「ブロッコリー自体も非常に天候に左右される野菜なので、自分が思ったブロッコリーができた時は農業に魅力を感じる。特に今、旬な時期なのでたくさん食べてください」

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ブロッコリーが指定野菜に追加されるのは2年後。今後さらなる注目と人気が高まっていくかもしれません。