国内でも感染者が確認され始めた「はしか」。先月、大阪でコンサート後に「はしか」と診断された人が確認され運営側が参加者に注意を呼びかけた、というニュースもありました。「はしか」は、潜伏期間が長く、感染力も強いのが特徴で、時には死に至る病気です。
マスクや手洗いだけでは予防できない「はしか」について、特に注意しなければならない人や対策を取材しました。

NBC
NBC

はしかは「麻しんウイルス」によって引き起こされる感染症です。発熱や咳など風邪のような症状の後、39度以上の高熱と発疹が現れます。また肺炎や脳炎などの合併症を引き起こす恐れがあり、1,000人に1人が死亡すると言われています。

ウイルスの中でも“最強クラス”の感染力

NBC

やなぎクリニック栁忠宏理事長:
「たとえとして、“インフルエンザ”感染者が1人いたときに《1〜3人》ぐらい感染する力があるとします。
“新型コロナ”は── 今のコロナウイルスの場合《1〜2人》という感染力ですが、“はしか”の場合は、大体《12〜18人》というくらいかなり感染力が強い」

NBC

長崎県内では2008年、諫早市内の中学校の生徒にはしかの感染が確認され、およそ1週間、学校閉鎖となりました。その後2012年を最後に県内で感染者は確認されていませんが、今、徐々に全国で感染者が確認され始めています。

NBC

国立感染症研究所によりますと、はしかの感染者はことしに入って大阪で7人、東京で6人など、合わせて21人確認されています。(2024年4月3日時点)

NBC

主に『飛沫・接触』で感染が拡がる“新型コロナ”や“インフルエンザ”と異なり、“はしかウイルス”は『空気感染(飛沫核感染=飛沫の水分が蒸発した小さな粒子を吸い込むことでの感染)』でも拡がるため《同じ空間にいるだけで感染》するおそれがあります。

有効な対策はワクチンのみ 妊娠中や乳児は要注意

はしかは手洗いやマスクだけでは予防できません。

NBC

やなぎクリニック 栁 忠宏理事長:
「有効な対策というのがやっぱりワクチンしかなくて、ワクチンをしていれば、逆にかなり心強い対策にはなる」

NBC

厚労省によりますと、ワクチンの1回接種でおよそ95%、2回接種では99%の人が免疫を獲得するとされています。

しかし、妊娠中はワクチン接種ができず、また、0歳の乳児は定期接種を受けていないため特に注意が必要です。

やなぎクリニック 栁 忠宏理事長:
「(妊婦は感染すると)早産や流産の可能性が30%ぐらいあります。
一番怖いのは『肺炎』や『脳炎』です。特に小さい子であればあるほど 5,000人に1人ぐらいは『亜急性硬化性全脳炎』という後から寝たきりになっていくような状態の脳炎がおきることがある。そこはちょっと怖いところです」

栁医師によりますと、はしかの対策として、まず2回のワクチン接種が大切です。

NBC

ワクチンを接種をしていない0歳の乳児は《母親の抗体》が一定期間引き継がれるということですが、任意で接種は可能ということで、かかりつけ医に相談してほしいとしています。

接種回数は?感染歴は?不明な方は《抗体チェック》を

妊婦や乳児だけでなく一緒に暮らす人も注意が必要です。ただ、抗体を持つためのワクチン接種は(定期接種の実施経緯から)“世代”によって回数が異なります。

▼51歳以上の人は《未接種》の可能性
▼24歳〜51歳の人は《1回》しか接種していない可能性があります。

NBC

※定期接種が始まる前の世代では、幼少期にはしかに感染したことで抗体を持っている人も多いとされています。一方、経年で抗体価は低下していきます。

住吉アナウンサーは33歳で1回しかワクチン接種をしていません。長男が生まれたばかりで、ワクチン接種をしていないということもあり《十分に抗体があるのか検査》をしました。

NBC

『抗体検査』は採血のみで、住吉アナウンサーの場合、1週間ほどで結果が分かりました。

NBC

いなさ内科胃腸クリニック 金子 巌院長:
「麻しんと風しんの抗体検査ですけど(住吉アナウンサーは)抗体価としては陰性ではないんですが、感染対策の免疫としてはちょっと不十分なので、追加のワクチン接種が望ましいと思います」

住吉アナウンサーの抗体価は《6.2》でした。

NBC

日本環境感染学会が医療関係者に向けて作成したガイドラインに照らし合わせると「あと1回の予防接種が必要」という結果になりました。

NBC

いなさ内科胃腸クリニック 金子巌院長:
「ワクチン接種で獲得した免疫は10年から20年ぐらい経過すると徐々に下がってくるので、20代から30代以降の人は調べてみると、免疫が十分でないというケースがあります」

NBC

「自分が何回、はしかのワクチンを接種したか」を知りたい場合は、まずは母子手帳で確認してください。手元にない場合は、接種した自治体の窓口に問い合わせれば、記録が残る範囲で対応ができるということです。(期間は自治体によります)

それでも分からない場合は『抗体検査』を受けて、自身に抗体があるかどうかを確認して欲しいと各自治体は呼びかけています。