ベルーナは2300万人以上の会員基盤を持つ通販事業で培った物流やコールセンターといったインフラサービスから、同梱広告などによる新規顧客獲得まで一気通貫で支援できる体制を整えている。近年はデジタル施策に注力してきたD2C企業のオフラインでの新規獲得から、インフラ支援まで包括的に支援する事例が増えている。

物流代行サービスでは自社通販のリソースやノウハウなどを活用し、迅速な配送、コストメリット、きめ細やかな同梱対応などを提供している。2023年8月には、埼玉・比企郡にある物流センター「吉見ロジスティクスセンター」を増築しており、物流代行のキャパシティや機能を拡張している。


▲2023年8月には、埼玉・比企郡にある物流センター「吉見ロジスティクスセンター」を増築

「スケールメリットを生かしたコストの抑制に加えて、長年の通販事業で培ったノウハウを用いて作業コストを効率化しており、導入企業にも条件の良い価格を提供できていると思う」(BBS事業部 部長 長岐倫志氏)と話す。

物流センターを自前で設置している点も、倉庫を借りて運用している3PLよりコスト面で優位性がある。

庫内作業の効率化は、通販事業のノウハウが生かせる点だという。

「スタッフの作業の効率化はもちろん、効率をより高めるために梱包する箱のデザインから提案させていただくこともある。テープの代わりに送り状で封をすることで梱包の工程を削減するケースもある」(同)と話す。


<リソース生かし迅速配送>
さらに自社通販や受託企業によって多くのスタッフを抱えており、導入企業の出荷の波動を吸収できる点も強みだ。

「3PLに委託していると、年末年始のセールが重なる時期など、出荷しきれない、または出荷上限を設けているケースもあると聞く。当社では基本的に出荷しきれないということがないように対応している。受託倉庫では、1人のスタッフが複数案件対応できるように教育しており、注文が集中するときはスタッフを柔軟に配置している。1日3回、各案件の出荷の進捗状況を現場の管理者がすり合わせしており、状況に応じてスタッフの配置を調整している。また自社通販のスタッフに応援を頼むことも可能だ」(同)と話す。

自社通販で培った同梱物対応も強みだ。

「当社では細かな同梱物に対応できる。リピート通販のお客さまには、定期購入の初回、2回目など、さまざまな条件に応じて同梱物を出し分けできる。自動丁合機も導入して効率化も図っている」(同)と話す。


▲自動丁合機を導入

自動丁合機以外にも自動梱包機なども導入しており、導入企業の事業成長やニーズに合わせて、アナログと機械を使い分けているという。

配送のコストやリードタイムを考えて、関東に物流拠点を設けたい企業や、同梱物などのサービス品質を高めたい企業などからの物流受託が増えている。


<接客スキルでLTV向上に貢献>
コールセンターでは、長年の通販業務で培った接客スキルで顧客のLTV向上を支援している。リピート通販の導入企業が多く、定期購入への引き上げや、定期契約している顧客の継続促進に貢献している。

「コール対応では、やりすぎるとクレームにつながり、導入企業イメージを損ねてしまう。いかに気持ちよく買い続けていただけるかを意識している。顧客対応にはマニュアルやトークスクリプトはあるが、それ通りに進むことの方が少ない。お客さまの心情を理解し、コミュニケーションを深めることで購入を継続していただけるように促している」(同)と話す。

例えば定期解約の連絡をもらった際は、一方的に規約などを持ち出して解約阻止をするのではなく、顧客の購入動機や当初の目的を尋ねて、改めて使い方を提案したり、励ましたりしながら購入継続を促しているという。

「お客さまと向き合う考え方については、長年、自分たちで通販事業をやってきた文化、土壌がある」(同)と話す。

物流やコールセンターのスタッフのモチベーションを高める取り組みとして、活躍した社員やパートを表彰するガンバレーション制度を設けている。通販を理解し、意欲的に業務に取り組むスタッフを活用できる点もベルーナに委託する魅力となっている。


<丸ごと委託で相乗効果>
ベルーナの顧客向けのカタログにチラシを同梱して新規顧客獲得を支援するサービスも提供している。デジタル広告の獲得効率が悪化する中で、オフラインの顧客獲得策で高い成果を得ているEC企業は多いという。

「EC1本でやってきた会社が、当社のカタログにチラシを入れ、反響入電を当社のコールセンターで受け、その注文商品を当社の物流センターから出荷するという一気通貫で支援するサービスも好評だ」(同)と話す。

物流代行、コールセンター、同梱広告など、それぞれ単体で活用することもできるが、組みあわせて業務を丸ごと委託するEC企業が増えている。

「例えばお客さまから急遽、『発送を止めてほしい』『商品を変更してほしい』などの連絡を受けた際に、コールセンターと物流が同じ会社だと連携しやすい。迅速な対応を実現することで、顧客満足度が高まる。データ連携に関わる業務も当社側で対応できるので、少数精鋭で運営しているD2C企業などは、手離れが良いと好評だ」(同)と話す。

カート会社や決済会社から、支援企業のコールセンターと物流を丸ごと委託できないかと依頼されるケースも増えている。今後も新興D2C企業が、通販の老舗であるベルーナのインフラを活用し、事業基盤を安定させて、成長を図るケースが増えていきそうだ。