2023年11月に創業100周年を迎えたオーダースーツSADAは、コロナ禍の逆境を乗り越え、2024年7月期に過去最高の売上高を見込んでいる。YouTubeを活用した情報発信やSEO対策を強化し、新規顧客の獲得に成功している。

公式サイトから来店の予約を促し、実店舗で専門のスタッフと相談しながら採寸を行い、オーダースーツを販売している。ECサイトは、ユーザーが商品の事前確認、採寸済のリピーターによる追加購入、オンライン限定商品の購入などを行う場となっている。

工場直販による、フルオーダースーツの初回価格が1着当たり約2万円という手軽さと、商品の質の高さが強みだ。同社はコロナ禍でビジネススーツの需要が減ったことにより、2021年7月期の業績は打撃を受けたが、オンライン施策を強化したことで売り上げを回復している。

オンライン施策について、「まずは『オーダースーツが欲しい』という明確なニーズがある人をしっかりとつかむ」(佐田展隆社長)ことを目的に、SEO対策に注力しているという。「オーダースーツ 体大きい」「オーダースーツ 安い」といった、検索キーワードで上位に表示されるような広告運用やページ作りを実施した。
 
次の段階として、「オーダースーツがまだスーツの選択肢に入っていない」潜在顧客を獲得するため、「笑いを取りながらスーツの着こなしを直していく」という形式の動画で情報発信をしている。

同社が2022年7月に開設した公式ユーチューブチャンネル「オーダースーツSADAチャンネル【公式】」の総再生回数は現時点で8000万回を超えている。本編を切り抜いたショート動画が特に好評で若年層の認知拡大にもつながっているという。


▲YouTubeチャンネル

動画の狙いについて、「オーダースーツ業界は、『基本的な質問をしたらいけないのではないか』といった堅い雰囲気を感じてしまう人が多い。若い人でも気楽にフルオーダースーツを買ってもらえるよう、楽しく有益な情報を提供している」(同)と説明した。

佐田社長は2013年に自身のユーチューブチャンネル「さだ社長」を開設し、「オーダースーツを着用してスキージャンプをする」といった「過酷チャレンジ」で、オーダースーツの質の良さをアピールしている。


▲スーツ姿で登山をする佐田展隆社長(東南アジアの最高峰の標高4095メートルのキナバル山にて)

「売上高というのは、『これだけ顧客に喜んでもらえて、世の中に必要とされている』ことを表す指標。2024年7月期は過去最高売上高となる、40億円を超える見通しだ。50億円突破を目指し、新規顧客とリピーターの両方を増やしていきたい」(同)と意気込んだ。