黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(2月12日放送)にホテル評論家の瀧澤信秋が出演。コロナ禍を経た「日本のホテルのいま」について語った。

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黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。2月12日(月)〜2月16日(金)のゲストはホテル評論家の瀧澤信秋。1日目は、コロナ禍のホテル事情について—

黒木)前にご出演いただいたのは2018年でした。コロナ禍を経て、現在のホテルはどうなっているのでしょうか?

瀧澤)前回呼んでいただいたときは、まさかこんなことになるなんて思いもしませんでした。コロナ禍は2020年1月から始まりましたが、直前までは東京オリンピック開催を控え、ホテル建設ラッシュで非常に盛り上がっていました。「この勝機を逃さないぞ」と動いていたところだったのです。

黒木)やはり、ホテル事情は変わりましたか?

瀧澤)はじめのころは「春休みぐらいの時期になれば何とかなるのではないか」という気持ちがあったのですが、オリンピックが延期になって、クローズするホテルが増えていき、緊急事態宣言もありました。本当に疲弊して、大変な時代を迎えました。逆に言うと、それがあったからホテルがブラッシュアップされたという見方もできます。こんなにホテルで消毒や除菌に気を遣った時代はありませんでした。いまホテルは除菌・消毒のプロフェッショナルです。

黒木)私の知り合いがハワイのホテルで働いているのですが、年齢が上の方だけを残して、下の方たちを休ませてしまったという話を聞きました。コロナが明けて従業員不足が問題になっていませんか?

瀧澤)人手不足は大問題です。日本においても、サービス業全般で人がいないそうです。ただ、ホテルの仕事は、きょう採用してすぐに任せられるものではありません。人がステイする場所なので、ホテルマンとしてある程度の能力が必要なため、人材確保は難しいですね。でも、ホテルは増えています。

瀧澤信秋

瀧澤信秋

黒木)ここ数年はインバウンドの増加もあって、高級ホテルの建設が飛躍的に増えているようですが。

瀧澤)高級ホテルはクローズアップされるので増えているイメージがありますが、客室数では、圧倒的にビジネスホテルの増加が激しいです。

黒木)前回も、ビジネスホテルではあるけれど、いいホテルがあると教えていただきました。

瀧澤)それがさらに飛躍しています。ビジネスホテルと呼ぶのが申し訳ないようなホテルが増えています。

黒木)前回は群馬県高崎市にあるビジネスホテルが素晴らしいとおっしゃっていましたが、そういうホテルが増えているのですか?

瀧澤)高崎のホテルはすごく人気が出ましたが、その後、そのホテルに追いつけ追い越せというホテルが高崎に誕生しまして、現に追い越しています。口コミも高いです。しかも駅から歩いて十数分掛かるのに、追い越しています。

黒木)どうしてですか?

瀧澤)徹底的に高崎駅の人気のホテルを研究して、ないものを全部入れようと努力したのですね。

黒木)そういった意味でも競争が激しく、いいホテルが生まれてきているのですね。

瀧澤)他にないもの、いままでにないものをどんどんやろう、先手を打ってやろうというのがホテル業界です。差別化と競合、競合と差別化をくり返しているのです。

瀧澤信秋

瀧澤信秋

瀧澤信秋(たきざわ・のぶあき)/ホテル評論家

■法律事務所、会計事務所等の勤務を経て、経営コンサルタントの会社を設立。
■2000年ごろから各地への出張の折に利用したホテルの宿泊レポートをブログで執筆。
■2007年ごろからメディアへの取材対応をはじめ、「ホテル評論家」として活動。日本を代表するホテル評論家として、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底し、数多くのメディアに出演。
■評論対象はラグジュアリーホテル、デラックスホテルをはじめ、ビジネスホテル、簡易宿所(カプセルホテル・ゲストハウス・簡易宿泊所)、レジャーホテル(ラブホテル)など多業態に渡り、ホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題まで幅広い。