建設業界で急速に進む高齢化と人材不足が年々、表面化し対応が急がれる中、5月22日から幕張メッセで開かれるあるイベントに業界関係者から注目が集まっている。大手建設機械メーカーや測量関連などから、新しい時代に向けた最新技術が披露される。ICT技術を駆使した無人化・省人化、環境対応など、建設業界の未来に向けた発信と業界関係者を巻き込んだ活発な商談が期待されている。

5月22日から24日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で行われる「建設・測量生産性向上展(CSPI−EXPO2024)」は、今回で6回目の開催で、過去最大規模となる。大手建設機械メーカーや測量関連、土木分野に向けたデジタル技術の提案を行う情報通信技術(ICT)系企業など455社が2670小間の規模でそろう。中でも今年は海外企業の出展も増えており、中国や韓国、イタリア、ドイツ、オランダ、スペインといった17カ国から84社が日本市場を目指し、さまざまなソリューションを紹介する。

建設DX(建設業のデジタル変革)を担うソリューション提案企業やソフトウェア、ドローンを使った最新測量など、会場内や屋外も使った現場さながらの実演を見比べながら体感できるのは同展ならでは。第1回目を行った2018年は2ホールだったのが、今回は6ホールまで拡大しており、リアルイベント開催が難しい時期だったコロナ禍にも出展者が増え続けてきた同展の成長性の高さが際だってきている。業界の次世代を担う最先端のICTを組み合わせた提案に、例年、活発な商談が増えており、今年は3日間で4万6000人の来場が見込まれている。

出展社約455社、展示面積約47.000㎡と過去最大規模で開催される
           

建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少が続き、現在は当時の6割程度とみられる。現場では慢性的な人手不足と高齢化に危機感が強まり、抜本的な生産性向上の導入策が必須となっている。国土交通省が進める生産性向上策「アイコンストラクション(i-construction)」では、測量から設計、施工、検査、維持管理に至るまですべてのプロセスにICTが導入される。こうした流れを組んだ技術開発は活発化しており、建築分野から土木分野へと建設DXの進歩は加速している。

会場ではコマツや日立建機、キャタピラージャパン、コベルコ建機、住友建機、クボタ、ヤンマー、タダノといった世界で活躍する大手建設機械メーカーやアタッチメント企業が勢ぞろいするのはもちろん、トプコンやニコン・トリンブルなど測量大手企業もそろう。レンタル分野ではアクティオ、カナモト、西尾レントオール、レンタルのニッケンといった企業による、最新の建機・重機、高所作業車などの迫力ある実演が見どころとなる。

加えて大手ゼネコンが取り組むジョイントベンチャー企業、ドローンを使った測量やインフラ点検、建設工程そのものを見える化し、生産性向上を目指すシステム提案なども一斉に集まる。クラウド型建設プロジェクト管理サービスを手がけるアンドパットの初出展や、コマツが出資し、建設現場のデジタル革命を担うEARTHBRAINといった、注目新興企業のブースが注目されそうだ。

屋外会場では多くの実機が展示される

充実したセミナーで建設DXを学ぶ

会場内の「特別セミナー」は3箇所にわかれて、業界キーパーソンによる39講演が開かれ、実践的な内容も豊富にそろえられている。

国土交通省のインフラDXに関する取り組みについての発表のほか、日本UAS産業振興協議会の鈴木真二理事長(東京大学名誉教授)による「ドローンによる生産性向上」など、体系的に学べる機会となる。また日本M&Aセンターは「なぜ、昨今建設業界でM&Aが活発になっているのか」と題して、経営課題を解決する方法の一つとしてのM&A活用についての現状を解説する。

特別セミナーはこちら。
 A会場
 特別セミナー A会場 - 建設・測量生産性向上展 CSPI-EXPO
 B会場
 特別セミナー B会場 - 建設・測量生産性向上展 CSPI-EXPO
 C会場
 特別セミナー C会場 - 建設・測量生産性向上展 CSPI-EXPO

主催者に聞く 建設・測量分野が一堂に会する展示会開催

「日本の最新鋭技術を集めて、世界に誇れる展示会にしていきたい」と話す谷鉄也実行委員長

建設・測量生産性向上展(CSPI−EXPO2024)を主催する谷鉄也同展実行委員長(新東通信社長)に、成長を続ける展示会の今後の展望などを聞いた。

―コロナ禍を経て、さらに展示会規模が大きくなっていますが、その背景をどう見ていますか。
 「世界で活躍している日本の建設機械メーカーから、測量機器、ソフトウエアの開発企業、ドローンを作っているようなベンチャー企業まで、一堂に交流する場を作り発展していってほしいということから2018年に初開催した。建設土木分野は広く、分断されていたものをつなげようということで始めたものだが、その取り組みが定着し、年々リピーターが増えてきている。今年はさらに1ホール増えて、今まで以上に充実した内容で、規模的にも発信力を増している。」

―建設DXの進展が進み、出展領域も多分野になっています。
 「“生産性向上”を展示会名に入れている通り、建設業界の課題解決に関するものが一斉にそろう場となっている。現場でも、建設DXを体感してみたい、見てみたいという要望が増えてきている。無人化や省人化などの同じテーマであっても、プロダクトやテクノロジーは日々進化している。参考出品などもあり、5年後、10年後など少し先の未来を見せられる場となってきている」

―今後の展示会の方向性はどう考えていますか。
 「力のある日本の最新鋭技術を集めて、世界に誇れる展示会にしていきたい。また、今年は海外から84社が出展してくれるが、まだまだ海外企業からの出展はポテンシャルがある。また国内のベンチャー層も開拓できる。建設や測量の技術を集めたプラットフォームの機能として充実させる。次世代技術を学生さんらにも見てもらえる場としても、若年層も呼び込んでいきたい」

<開催概要>
 第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI―EXPO2024)
 〜次世代を担う、最先端技術が一堂に〜
 会期:5月22日―24日
 場所:幕張メッセ(千葉市美浜区)
 主催:建設・測量生産性向上展 実行委員会
 後援:デジタル庁、経済産業省、国土交通省、環境省