グリーンクロスは工事現場などで用いる安全機材を販売するとともにレンタル事業も手がける。初期投資を抑えられる利点などから、利用が伸びているレンタル事業を支えるのが物流拠点「ロジスティクス」だ。高速道路が交差し、九州の交通の要衝である佐賀県鳥栖市で2011年に開設。現在、西日本を中心に12カ所に拠点機能を置く。

当初、営業と配送は一体の業務だった。事業拡大に伴い取扱数量が増えたことを受け、従業員の作業負担軽減を主な目的に10年ほど前から少しずつ営業と配送の分業化を進めた。結果、営業と配送の担当者は各自の業務に専念して効率化を図れるようになり、「生産性は格段に上がった」(久保孝二社長)。

配送の要が「司令塔」と呼ぶ物流を采配する担当者だ。営業から注文を受け、在庫を見てユーザーに早く届くように手配する。

同社では各営業拠点が商品在庫を持つ。ロジスティクスではレンタル用機材と、まとめて仕入れる定番商品を管理する。久保社長は「すぐに欲しいという要望が年々増えている。要望への対応力が他社との差別化になる」と在庫の重要性を説明する。

好調なレンタル事業を支えるロジスティクス(佐賀県鳥栖市)。取り扱い機材が拡大している

ロジスティクスと各営業拠点間はトラックの定期便で結ぶ。自社トラックによる配送を基本に、必要に応じて物流会社を活用する。営業拠点とロジスティクスは社内の情報ネットワークで結んでおり、必要に応じて即座にエリアを越えて商品や機材を融通できる。

普段、営業担当者は工事内容を把握して適切な機材を提案する。ただ、工事の進捗(しんちょく)によって必要な機材が想定外に変わったり、安全上の必要性が生じたりするなど、さまざまな理由で急な発注を受けることもある。

物流での課題の一つが効率化によるコスト削減だ。久保社長は「小さくて気付きにくい無駄が生じている可能性がある」と分析する。配送のタイミングやトラック1台当たりの積載量といった、長期的な視野で見直すことで抑えられるコストがあるとみており、「効率化の精度を上げていく」(同)と意気込む。

グリーンクロスがロジスティクスの整備を始めたころは需要拡大に応じて開設していた。だがレンタル需要の急速な伸びで「今はロジがなければ追いつかない状態」(同)で、整備が営業戦略のポイントとなっている。取り扱い機材の増加で手狭になりつつあるロジスティクスも出てきており、能力増強の計画を進める。