―[誰も知らなかったゴルフの真実]―

教える側の経験則や主観で語られてきた既存の指導法とは一線を画す論理的なレッスンで、YouTubeチャンネル登録者数が41万人超と日本中のゴルファーから絶大な人気を誇るティーチングプロの三觜喜一氏。そんな三觜喜一氏がより実践的なテクニックをまとめた『ゴルフの思考法』が発売されるとあり、注目を集めている。
ラウンド中、さまざまな選択に迫られるゴルフ。アマチュアゴルファーであれば、その選択ひとつでスコアは大きく変わるだろう。スコアアップの一助となるのか。ラウンド前にぜひ読んでおきたい『ゴルフの思考法』の発売を記念して、今回はそのベースとなった『週刊SPA!』連載から誌上レッスンの模様をここに公開する。

(以下は『ゴルフの思考法』のベースとなった週刊SPA!連載『誰も知らなかったゴルフの真実』より抜粋)

◆Lesson83 「ココがうまくできない」読者からの質問に答えます!

 今回は読者からの質問に直接お答えするというもの。前著『ゴルフの真実』の内容でわかりづらかった部分に対しての質問、「ここをもっと掘り下げて説明してほしい」という要望に計30ほどイベントで回答させていただいたのですが、そのイベント内で出たQ&Aをここでも公開します。これでみなさんの理解をより深めていただければと思います。

 ゴルフというスポーツは上達が難しく感じがちですが、物理的な原理原則をしっかり理解することが上達への何よりの近道。練習あるのみです!

◆Q1.アドレス:平らでないティーイングエリアで、どう構えるべき?

A.ヒザのアライメントを揃えて対処が基本

 なるべく平らなところから打つのが理想ですが、ティーイングエリアも真っ平らではありません。全体が左足下がりなら右足、左足上がりなら左足をやや後ろに引き、“左右両ヒザのライン”を揃えて構えましょう。つま先ではなく両ヒザのラインを揃えてこそ、傾斜地でも真っすぐ打ち出せるのです。また、つま先下がりは右、つま先上がりは左に飛びやすいので、それを考慮して目標の左右を向くようにします。

誰も知らなかったゴルフの真実 傾斜を逆手にとってスライスで攻めたいと思えばつま先下がり、ドローならつま先上がりのエリアにティーアップするのもアリ。打ち下ろしで向かい風だったら、球が上がりづらいやや左足下がりのライを探してそこから打てばイメージ通りの球が打ちやすくなります。

◆Q2.インパクト:スピネーションを意識すると、フック系の球が出る

A.フックが頻発したら、スピネーションは意識しない

 スピネーションとは、遠心力で開こうとするフェースをインパクト時にスクエアに戻すための瞬間的な動きで、スピネーションによってフェース面が閉じることは本来ありません。フックが出る人はこれをフォローでもやり続けて「ローリング」になっている可能性がある。これだとフェース面が左を向いてしまいます。

誰も知らなかったゴルフの真実 本来スピネーションはあまり意識しないで行われるべきもの。左に飛ぶ人はフェースが閉じすぎているので、スピネーションを意識しないほうがいいかもしれません。

 スピネーションでシャフトが回転したあとは惰性で動くだけ。左手甲をトントンとドアをノックするように使って打ったら左手首は甲側に折れていきます。チーピンが出る人などは、ずっと回し続けて力が入っているはずです。

◆Q3.パッティング:ラウンド中にグリーンの状態が変わったとき、どう対応すべき?

A.自分の距離感は変えず、目標とするカップの位置を変えて対処

 朝露に濡れて重かったグリーンが乾いてきて速くなる。逆に雨で濡れて急に重くなるといったラウンド時のグリーンの変化はよくあること。プロといえどもその変化にいきなり気づきません。2〜3ホールで気づき、それに対して距離感を修正することはあります。

誰も知らなかったゴルフの真実 例えば急に速くなった場合、従来の距離感で打ったらオーバーしますが、その際に「さっきより弱く打とう」と意識するのはナンセンス。打つ強弱ではなく、カップを手前に想定して打ちます。こうして打ち方ではなく目標を変えれば、自分の距離感を変えなくて済むからです。

 遅いから強く、速いから弱く打つ、とやっていると自分の感覚がバラバラになります。皆さんも自分の距離感は変えずに目標とするカップの位置だけ変える。常に同じ感覚で打つ中で距離感を合わせる方法をとるべきです。

◆Q4.パッティング:パッティングの際、ボールの線は合わせる?

A.やってもいいが、2つの理由でオススメしません

 賛否両論ありますが、僕は線を邪魔に感じるので合わせません。狙ったラインに線を完璧に向けるのは不可能。1㎜でもずれたら狙ったところに打ち出せないので、基本的にはオススメしません。

 もう一つの理由は、プレーが遅くなるから。手際よくできれば問題ないのでしょうが、きっちりやっている人ほど、ちょっとずれていると思うと何度もやり直す。僕はスロープレーが好きじゃないので余計気になるんですが、要は自分のイメージを重視したいんです。

誰も知らなかったゴルフの真実 ただ、自分やフェースの向きがわからない人は線に合わせて、カップの方向を確認する作業をしてもいいと思います。結局、機械的にラインを合わせたい人もいるので人それぞれですね。

◆Q5.パッティング:長尺パターへの変更を検討しています

A.体幹を使って打てれば、すんなり移行できる

 僕は25年近く長尺です。腰痛予防、若いころにイップスになったことなどがその理由。極端な話、右手を離してもボールに当たる安心感があります。既存の長尺は47〜48インチですがアンカーリング禁止で長すぎる格好になったので、体から離して使えるように1〜2インチ短くしました。

誰も知らなかったゴルフの真実 長尺も短尺も基本的にやることは変わりません。すなわち体幹を使ってストロークすること。それさえできれば長尺にもすんなり移行できると思います。普段、手先を使っている人が長尺にした場合、バックスイングですごく揺れる人が多い。逆にそうなる人はそれまで手先で打っていた証し。そんな意味でも使ってみるのはいいでしょう。僕も使い続けると思います。

―[誰も知らなかったゴルフの真実]―



【三觜喜一】
みつはしよしかず●’74年、神奈川県生まれ。日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級。ジュニア育成、ツアープロコーチとしても活躍。YouTubeの「三觜喜一MITSUHASHI TV」は登録者数41万人超