―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第476回目をよろしくお願いします。
今回はGUのマストバイ5選!
型数が多すぎて選べないGU、今回は年間3000万円ほど服を購入しているユニクロ&GUマニアの私MBが「これぞ!」というアイテムを解説します。
◆全ファストファッションのなかでもダントツの存在
・イージーケアシアーオーバーサイズシャツ(長袖) 2290円
GUのシャツならダントツでこれが一番……いや、全ファストファッション中でもこれが一番着用頻度高いかも。
ポリエステル100%のイージーケアシャツ。「シワがつかない」「汚れが落ちやすい」「縮みにくい」など昨今そうしたユーティリティ性を謳う商品が多く、取り扱いの難しい繊細なシャツ生地などをより身近なものにしてくれています。
ユニクロもGUも無印も多くのブランドがこうした機能的特性を打ち出しており、大人気に。「おしゃれは我慢」なんてもう死語なのかもしれません。
◆「風合いの美しさ」と「機能性」を両立
……しかし、もちろんいいことばかりではありません。シワがつかない生地にするためにはポリエステルの混率を高める、もしくは表面に特殊な加工を施す必要があり、天然繊維である繊細なコットンならではの光沢感や美しさは損なわれます。
高混率にするほどポリエステル特有の「チラつき」「テカり」が強く出てしまうことが多いため、安物ならではの風合いになってしまう。
しかしながら、GUのこちらの製品は、これらトレードオフの関係性にある「風合いの美しさ」と「機能性」を限りなく解消した名品。ポリ100ながら、ほとんどそれを感じさせることなく上質なコットンローン生地のようなエアリーな風合いに仕上げています。
GU得意のオーバーサイズシルエットですが、テロっとした落ち感があるため、横に広がることがなく、だらしなくならない。かつ、もちろん洗濯機で洗ってもシワは残らないし、通気性もよく、夏でも快適。
GUでは珍しく2年連続での展開となっている超人気作。見逃している人は損していますよ。
◆重厚で高見えするのに着心地も抜群
・ドライポンチカーディガン(長袖) 2290円
スウェットライクなもっちり感と肌ざわりのよさを持ちながら、洗ってもシワが入りにくいドライポンチ素材。膨らみのある重厚感があるものの、軽量でストレスを感じない着心地も魅力です。
ユニクロでもGUでも今までは春用のカーディガンというと、薄手でどこか頼りない生地のものが多く、清涼感と引き換えに「ペラペラ」な印象がついて回るものでした。
しかしながら、このポンチ素材が出てきてから、重厚で高見えする質感と着心地のよさを両立できています。
◆秋冬のインナーに使っても違和感なし
加えて、フラットな表面組織になるポンチだけに発色も非常に美しく、光沢ある黒やネイビーはどこかウールのようにも見えます。伸縮性も弾力性もあり、中にシャツを入れても着膨れすることがほとんどない。
通気性のよさから春夏に使え、もっちりとした厚手の印象から秋冬のインナーに使っても違和感もない。格安の値段ながら幅広く快適に使える名品です。
◆ガンガン洗濯しても安っぽくならない
・ドライポンチクルーネックT(5分袖) 1290円
ドライポンチシリーズのTシャツバージョン。薄手のポンチ素材で夏らしい快適な印象。
先に紹介したカーディガンと同様にシワがつきにくく、それでいてシルキーな光沢感を併せ持つ。Tシャツは洗濯機で1回でも洗うと風合いが激変するものが多く、「買ったときはきれいな印象だったのに洗ったら、なんだか安っぽくなっちゃった」なんてことも。
繊細なコットン100の素材は水通しするだけでシワが入りやすく、どうしてもそれがネガティブに働くことも多いです。かといってしっかりアイロンをかけたりクリーニングに出したりするのも面倒だしね……。そこで、こうした合繊だけど、高級感あるポンチがおすすめ。
◆1290円には絶対に見えないクオリティ
首元は少しだけ開き気味になっており、色気のある表情が人気。毎年展開するGUの定番品ですが、今年は特に色展開が豊富で楽しい。
1290円という激安価格ですが、僕は今までそう見られたことは一度もありません。
「それ、どこのブランドですか?」「GUです。1000円くらいです。」「えーーーーー!!!????」という会話が毎年必ず起こります。
◆90年台に青春時代を過ごしたおっさん世代に刺さる
・グラフィックT(半袖) MUSIC(Blur) 2990円
おっさん歓喜、なつかしのブラーです。
オアシスを筆頭に盛り上がったブリットポップ、90年代から2000年代にかけて世界中のミュージックシーンを席巻していました。代表格に挙げられるバンドがオアシス、オーシャンカラーシーン、そしてこのブラーでしょうか。
ビートルズライクなオーセンティックな曲調で幅広い層に人気だったオアシスに対し、多様な要素を複雑に織り交ぜたやや通好みなサウンドがブラー。
当時なんとなくオアシスよりブラーを聴いてる人のほうが「知ってる感」があったような……。そんな90年台に青春時代を過ごしたおっさん世代に人気のブラー、まさか世代を超えて2024年の現在にコラボTシャツを着るとは思いませんでした。
◆「ライブのお土産Tシャツ」のようなチープさはなし
これがノスタルジーだけでなく、案外モノとしてもしっかりしている。GUのTシャツボディはハリと光沢感があり、ブランド見えする。プリントも発色よく、生地に馴染んだ風合いはいわゆる「ライブのお土産Tシャツ」のようなチープさはありません。
シルエットも当時のイメージではなく、ルーズな今っぽいものに仕上がっており、スマートな印象。
英国風にスリムデニムにタックインなどすれば、グラフィックとの親和性も高いでしょう。
◆「おしゃれ感」が強すぎない絶妙な素材
・カットソーバギーパンツ(丈標準70.0〜74.0cm) 2490円
カットソー素材のワイドパンツ。この素材感がなかなか絶妙で、やや軽めのサラッとしたスウェット生地のようなタッチ感。
スラックス素材のワイドって妙に「おしゃれ感」がありすぎて敬遠しがちな人もいますが、こちらはスウェット素材なのでナチュラルに使える。
◆裾は靴に合わせて自在に調整可能
気取りすぎない印象で今っぽいシルエットが纏えるため、おすすめ。加えて、裾はジョガーにすることもできるので、靴に合わせて自在に調整することも。
素材は通常のスウェットよりもやや光沢のあるものになっており、安っぽさも感じない。これで2490円ならお得です。
あまり目立った陳列をされていないからか、在庫残り気味でかつセール価格に。夏場も使えるくらいのライトな素材なので幅広い季節活用できますよ。
以上、GUの最新マストバイ5選でした!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)