第37期竜王戦6組ランキング戦決勝、藤本渚五段(18)対山下数毅三段(15)戦が21日、大阪市の関西将棋会館で行われ、藤本が132手で山下を下し、決勝トーナメント(T)進出を決めた。プロ棋士養成機関「奨励会」に在籍する山下数毅(かずき)三段(15)は奨励会員初のランキング戦での優勝はならなかった。優勝していれば「プロ棋士」(フリークラスでの四段昇段)となる権利を得ることができ、異例のルートでのプロ棋士誕生の可能性があった。

注目の一戦は振り駒の結果、先手は山下に決まった。雁木(がんぎ)模様から力戦になり、難解な中盤では山下が一時、優位になったが、夕食休憩後に形勢を損ねた。

終局後、山下は「序盤は想定している展開から外れ、ちょっと苦しくなった。なんとか盛り返すことができたが、急に悪くなってしまった。いい勝負になりそうだったので残念です」と悔しそうに振り返った。

6組では6連勝で決勝まで進出してきた。「厳しい戦いばかりで、実力不足を痛感した」と話した。

一方、藤井竜王への挑戦権をかけた決勝Tでの長い戦いに藤本は「挑んでいく気持ちでいきたい」と意気込んだ。