プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が東京ドーム決戦を「歴史的」と振り返った。

6日に東京ドームでWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)の挑戦を受け、6回1分22秒、TKO勝利を収めてから一夜明けた7日、横浜市内の所属ジムで会見。1回に左フックでキャリア初ダウンを喫したものの、その後、計3度のダウンを奪い返してレフェリーストップによるTKO勝ちを収めていた。

井上は「昨日、無事に東京ドーム決戦が終わりました。映像を見直して、1ラウンド目のダウンを含め、6ラウンドをしっかりと見ました。内容的にも満足というか、すごく良い試合だったなと。陣営の方々はヒヤヒヤとしたと思いますが、昨日、来ていただいた4万人のお客さん、すべての方が満足していただけたと思う。昨日は本当に自分自身、歴史に残る試合」と振り返った。

90年2月、元統一ヘビー級王者マイク・タイソン−ジェームス・ダグラス(ともに米国)戦以来、約34年ぶりの東京ドームで開催されたボクシング興行。日本人初のメインイベンターを務めた。試合後の会見でも「覚えていない」とこれまでの試合後よりも興奮の熱が冷めていない状況だった。井上は「東京ドームの試合というものあるし、初のダウンもあった。ダウンが悔しいとか、どうとかはなくて、この出来事自体が自分をハイテンションにさせてしまった。すごく楽しかった。あの注目度の中で東京ドームの試合というものすべて含め、意味がある試合だった」と感慨深げに口にした。

所属ジム30年、自身の世界王座獲得から10年という節目に東京ドームをネリTKO撃破という形で成功させた。井上は「大橋ジム30年の年に東京ドームの試合ができた。ただ大橋ジムとしても井上尚弥としても、これが集大成ではない。今後のキャリアを加速させる1戦だと思っている。ここから熱い試合を繰り広げたいと思う。期待してもらいたい」と言葉に力を込めていた。【藤中栄二】