◆オリックス2―5ソフトバンク(31日、京セラドーム大阪)

 ソフトバンクの海野隆司捕手が約1年半ぶりのスタメンマスクで好リードを見せた。昨季は8試合出場にとどまった26歳。今季初出場となった試合で見せたのは、5年目に懸ける思いと冷静さだった。

 試合前練習から顔はこわばっていた。前回のスタメンマスクは2022年9月1日のロッテ戦(ペイペイドーム)。それ以来の先発だけに海野自身も「緊張はしました」と試合後に認めた。それでも大切にしたことがあった。「慌てることなく冷静にやろうと。1巡目、2巡目というのはある程度自分の中でプランは考えていたので。それはしっかり頭の中で整理はしていました」。頭に描いたものを冷静に遂行し、4回まで無失点投球のスチュワートを支えた。

 5回無死から連続四球で一気に崩れそうになる。それでも海野は冷静さを失わなかった。「四球を出すのは想定内というか、しょうがないので。とりあえず次をやっていく。あの回にゲームが動いたので、(守備でも)何かしらゲームが動く予想はあった」。マウンドに2度向かって「英語はしゃべれないので。とりあえずネクスト、ネクストって言いました」とサポートも忘れなかった。結果的に、最少失点にとどめることに成功した。

 昨季は1年のほとんどを2軍で過ごす悔しさを味わった。「今年が始まる前から、1軍で野球を、とにかくスタメンで試合に出るって思っていたので。失敗することもあるけど、そういうときになるべくミスは少なく。去年みたいな平凡なミスはしないように、常に心がけてはいます」。今年は今までとは違う。海野が着実にさらなる高みを見据えている。
(鬼塚淳乃介)