◆ソフトバンク5×―4西武(29日、みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクの仲田慶介内野手(24)がプロ初安打を放った。7回無死一塁で西武のエース高橋から中前打。「思い切っていけたのがすごく良かった」と笑みを浮かべた。

 仲田は育成ドラフト14位で2022年に入団。12球団最後の128番目の指名だった。そこからはい上がり、今年3月に支配下登録。内外野全ポジションをこなすスーパーユーティリティープレーヤーとして開幕1軍入りを果たした。

 出場機会は代走や守備が多く、打席は4月13日の西武戦(ベルーナドーム)の1打席(四球)のみ。今季は2軍戦での親子ゲーム出場もなく、実戦の打席からは長らく遠ざかっていた。その中でも「いつか絶対にチャンスが来ると思ってずっと準備していた」と力を込めた。

 7回に代打出場する前の回、小久保監督から「代打でいくぞ。高橋光成から打ってこい」と言われた。「びっくりしました」と振り返るのは無理もない。そこまで交代はなく、代打陣は豊富に残っている中、いの一番で起用を告げられたからだ。

 ここには小久保監督の考えがあった。3点ビハインドでかつ、相手エースが投げている。終盤にさしかかり、負けも覚悟しての展開だった。小久保監督は「あそこでつながった方が今日の試合は盛り上がるだろうと。(川瀬)晃でいくよりは。今日のゲームははっきり言って負けゲームだったので、もしつながったら、チームとしての盛り上がりは(川瀬)晃が打つよりはあいつ(仲田)が打った方がという狙いです」と明かした。

 小久保監督の思惑に1打席に懸ける仲田の思いが重なった。高橋から粘った末、フォークを中前に落とした。「とにかく低めのボール球は振らないように。真っすぐはファウルしながらという感じでした」

 仲田の一打でチャンスを広げ、相手エラーで1点を返した。9回に柳田の逆転サヨナラ3ラン。結果的に7回の1点も大きな意味を持つこととなった。小久保監督の求めた〝盛り上げ役〟を全うし、プロ初安打に勝利の喜びも加わった。(小畑大悟)