人にとって30年はとても長い時間であることは間違いない。しかしクルマにとってはどうだろう。
機械であるクルマの場合、特に旧車ではメカニズムのメンテナンスをし続ければ、走らせることは可能だ。
今回、30年前に撮影した同じシチュエーションで、同じシーンを再現。まさに時空を超えた瞬間が訪れたのだ。

【1960年式 トヨペット クラウン RS20 Vol.1】

 人生における30年は、とてつもなく長い時間だ。本誌も創刊から30年がたち、その間に180冊ものノスタルジックヒーローを発行した。今号の巻頭企画をひねり出そうと創刊当初の号をめくっていたら、30年前に誌面に登場していただいたオーナーとクルマに会ってみたくなった。「いやぁ、もうクルマを手放しちゃったでしょう」という声と「いや、まだ大切に乗っているはずだよ」という声が心の中で葛藤したが、まずは様子を聞いてみようと、長野県飯田市でレストア&カスタムショップの老舗「ドリームビークルズ」の代表をされているオーナーに連絡してみた。

 オーナーは1988年10月号のVol.9に、愛車のクラウンRS20と共に登場している。その記事の最後に「お嫁さんを結婚の日に迎えに行くために、クラウンをカスタマイズした」ということが書かれていた。なんともロマンチックな話ではないか。そして30年前にそのクラウンを撮影していたのが、現在も本誌で活躍している谷井 功カメラマンだった。それならば30年前と同じシチュエーションでロケをしたいという願望がわき上がった。

>> 【画像28枚】独特のデザインをしたインパネの丸いコンビメーターなど。右下に水温計、左下に燃料計を配す。スピードメーターは横の針がスライドするタイプ。目盛りは120km/hまでとなっている
  

>> フロントグリルのバッジは、トヨペットのTをフィーチャーしたもの。ボンネットマスコットは、現在はオリジナルが装着されているが、長らくロバの人形を付けていたとか。


>> 初期型クラウンRSではBピラーに腕木式方向指示器、通称アポロが埋め込まれていたが、後継モデルのクラウンRS20の一部グレードでは、縦型のサイドマーカーに置き換えられた。


>> 燃料給油口の位置は独特で、左テールランプユニットを開いた奥にある。専用キー付き。



【2】に続く