23日に行われた夏の甲子園決勝・慶応(神奈川)対仙台育英(宮城)戦。「8-2」で勝利した慶応が107年ぶり2度目の優勝を果たしたが、その試合中盤に飛び出た判定が物議を醸している。

 問題となっているのは、「3-2」と慶応1点リードで迎えた4回裏でのこと。この回は攻撃側の仙台育英が先頭・尾形樹人の二塁打から2死二塁のチャンスを作ったところで、代打起用された寺田賢生がカウント「0-1」からの2球目をスイング。流し打った打球は三塁線を破り外野ファールゾーンへ抜けて行った。

 三塁塁審はこの打球をファールと判定したため、仙台育英は同点に追いつくことはできず。ただ、直後に中継で流れたリプレーには、寺田の打球が三塁ベース手前でバウンドした後、ベースの上空を通過してからファールゾーンへ切れていく様子が映っていた。

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 この球審の判定に、ネット上には「え、今の打球フェアじゃないのか」、「なんでファールなんだよ、ベースの上通ってるだろ」、「同点タイムリーが誤審で潰れてしまった」、「これがファールにされるのは育英側も納得できないだろ」、「決勝でこんな判定されたら見てる側も興ざめ」といった批判が相次いだ。

 野球規則ではフェアボールの定義の1つとして、「一塁または三塁を、バウンドしながら外野の方へ越えて行く場合に、フェア地域に触れながら通過するか、またはその上方空間を通過したもの」と定められている。今回の打球はリプレー映像上では三塁ベース上空を通過したように見えたため、ファールではなくフェアが正しいと感じたファンが多かったようだ。

 微妙な判定で同点機を逃した仙台育英は4回裏無得点に終わると、直後の5回表に一挙5失点。その後は1点も返せないまま試合終了を迎え、初優勝を果たした昨年に続く大会2連覇を逃した。一部からは「あのファール誤審のせいで勝敗逆転したのでは」、「怪しい判定から流れが変わったと言わざるを得ないな」と、4回裏の判定が試合展開に深刻な影響を与えたとする不満の声も上がっている。

文 / 柴田雅人