宝塚歌劇団の機関誌『宝塚GRAPH』を出版する宝塚クリエイティブアーツは28日、同社サイトを通じ、2023年11月号に掲載した宙組劇団員のインタビュー記事について、経緯を説明した。

 『宝塚GRAPH』の同号には、上昨年9月30日に急逝した宙組劇団員の上級生の発言が掲載され、その内容が不適切と指摘されていた。劇団はきょう28日、劇団と遺族側が合意文書を締結した。

 「本記事では、本劇団員による発言として『ヘアアイロンを持って行こうかな』『絆創膏など、欲しくなるかもしれないものがたくさん入っています(笑)』との記載がありました。かかる記載は、故人がヘアアイロンにより火傷を負った件(以下『ヘアアイロンの件』といいます。)を想起させるものであり、かつかかる事実を茶化していると捉えられるものでした。また、本劇団員がインタビューの中で『ヘアアイロン(コテ)』や『絆創膏』に言及したことは事実であり、これに加え、当社が本記事を作成する中で、本劇団員の様々な発言の中からこれらの発言を抽出し、また『(笑)』と記載して掲載したことは、ご遺族の心情を著しく傷つけるものでした。ヘアアイロンの件及び発生後の週刊誌報道等により故人が多大な心理的負担を被ったことを軽視したものであるとともに、故人を悼む気持ちも欠如したものであったと考えております」と猛省。

 そして「本インタビュー自体は故人が急逝する前に実施されましたが、本誌は故人の急逝後間もない頃に校了及び発刊されたことからすれば、当社としては校了前に本記事を訂正するか、訂正が間に合わなければ発刊そのものを中止する等の対応を採るべきでした」とし、「以上につきまして、当社は代理人を通じ、ご遺族に対して一定の説明を行った上で正式に謝罪いたしました。今後は、このような事態を二度と生じさせることのないよう、記事制作等に当たっては一層の留意を徹底していく所存です」と伝えた。

 同社が記した記事作成経緯は以下の通り(全文)。

・2023年9月11日 本劇団員に対するインタビュー実施
当社の担当部門において、本劇団員に対するインタビューを実施しました。
インタビューは、担当部門が事前に準備した質問に対して本劇団員が回答する形で行いました。
本劇団員は、インタビューにおいて、「稽古に出発する際の荷物は最低限か、それとも大荷物か」との質問を受けたことに対して、「大荷物」だと回答し、それに続けて全国ツアーを経験したことで、予備の荷物を持って行かないといけないと考えるようになったという話を行う中で、「色々ハプニング想定して、雨だからカールが取れるかもとなったらコテを持って行かないといけないし」と発言し、また、しばらく会話が続いた後に、心配性で多く持って行くということなのかと質問されたことに対し「汗かいた(場合に備えて)着替えをたくさん持って行くとか、あとは、絆創膏とか」と発言しました。その他にもメイク道具を持って行く等の発言もありました。
その後、2023年10月2日までの間に、担当部門が当該インタビューの内容を記事にしたうえで(なお、その際には、担当部門の判断で、本劇団員の発言の中の「コテ」を「ヘアアイロン」と表現しました。)、担当部門内で確認を行いました(なお、同種の記事においては劇団員による原稿チェックは通常行われておらず、本記事についても、本劇団員による原稿チェックは行われませんでした。)。
・2023年10月2日校了
・2023年10月19日発刊