スギ花粉が大量に飛散しており、目のかゆみや鼻水などの症状に悩まされている人は多いと思います。花粉による目のかゆみを軽減するために、市販の目薬がよく使われますが、中には、昨年開封した目薬をそのまま使っている人もいるようです。SNS上では「去年の目薬があったから使っている」「目がかゆいので、残っていた去年の目薬を使う」という内容の声が上がっています。

 そもそも、目薬は開封後、何カ月以内に使い切らなければならないのでしょうか。開封してから長期間経過した目薬を使用した場合、目の健康にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。ロート製薬(大阪市生野区)広報・CSV推進部の佐藤麻衣さんに聞きました。

開封後の使用の目安は「3カ月以内」

Q.そもそも、目薬の使用期限は製造から何年後に設定しているのでしょうか。

佐藤さん「当社の場合、製造日から使用期限までの期間を公表していませんが、目薬の外箱に未開封時の使用期限を記載しております。自宅で開封していない目薬を保管している場合、使用期限を確認し、期限を過ぎた目薬の使用は控えてください」

Q.開封した目薬は何カ月以内に使い切るのが望ましいのでしょうか。目安について、教えてください。

佐藤さん「開封後はなるべく早く使用し、製品ににごりや浮遊物などが認められた場合は使用を中止してください。使用状況のほか、場所や温度などの保管条件により異なるため、一概には言えませんが、開封後の使用の目安は2〜3カ月です。また、取扱説明書に注意書きがある場合は、そちらに従って使用してください」

Q.「開封後の使用の目安は2〜3カ月」ということですが、目薬は開封後、どの程度でなくなるものなのでしょうか。

佐藤さん「当社の『Vロートプレミアム』シリーズの場合、1回の適量は約30〜50マイクロリットルで、ミリリットルに換算すると0.03〜0.05ミリリットルとなります。

このシリーズの目薬の容量は15ミリリットルなので、1回当たりの使用量を0.05ミリリットルと仮定した場合、最低300滴は点眼できます。用法・用量は、1回1〜2滴、1日5〜6回のため、『1回2滴・1日6回』として、『300滴÷12滴(1日)』で計算すると、25日分となります」

Q.昨年、開封した花粉症向けの市販の目薬を今年も使っている人がいるようです。開封してから半年以上経過した目薬を使い続けた場合、どのような目の病気を引き起こす可能性があるのでしょうか。

佐藤さん「有効成分の変化による影響や菌汚染による影響など、さまざまな要因が考えられるため、具体的な病名を例示することは難しいです。

ただ、開封してから半年以上経過した目薬を使った場合、目に刺激を与え、痛みやかゆみなどを引き起こす可能性があります。また、有効成分本来の効果が得られず、目の症状が改善されない場合も考えられます」

Q.ちなみに、未開封の目薬は使用期限内であれば、いつ使っても問題はないのでしょうか。

佐藤さん「使用期限内の目薬の場合、40度以上の高温な環境を避け、適切な場所で保管していれば、いつ使っていただいても問題ありません。ただし、一度開封したら、できるだけ早めにお使いください」