アジアのライバル北朝鮮との激闘を制し、2大会連続6回目の五輪出場を決めた日本女子代表、なでしこジャパン。

銀メダルに輝いた2012年のロンドン五輪以来となるメダル獲得に向けて、池田太監督とともに本大会での飛躍を目指している。

そんな現在のなでしこジャパンにおいて、主力と言える5名の選手を紹介する。

山下杏也加





1995年9月29日生まれ(28歳)

まずは、「山下の1ミリ」が記憶に新しい山下杏也加。なでしこ史上最高の守護神の一人だ。

村田女子高校から2014年に日テレ・ベレーザへ加入すると、2年目には早くもリーグのベストイレブンに選出。2021年、INAC神戸レオネッサへ移籍し、記念すべき初年度のWEリーグ制覇に大きく貢献した。

チームとして20試合で9失点という驚異的な守備力を発揮したこともあり、WEリーグ初代MVPを受賞。日本女子サッカーのトップリーグにおいて、GKがMVPに輝いたのは初めてのことだった。

170cmの体格に、鋭いシュートストップと左足の正確なキックを持つ現代的GKー。山下はなでしこ守護神の新たな基準だ。

清水梨紗





1996年6月15日生まれ(27歳)

日本の右サイドに、清水梨紗あり!A代表デビューを飾った2018年にいきなり19キャップを記録したサイドバックは、いまだ圧倒的な存在感を放っている。

2021年の東京五輪では、真夏の中2日連戦で全4試合にフル出場。なでしこの“鉄人”として名を上げ、その後も質と量を兼ね備えたプレーでピッチ上を駆け回っている。

2022年夏に日テレ・東京ヴェルディベレーザからイングランドのウェストハム・ユナイテッドへ移籍。海外選手とのデュエルにも慣れ、その中で技術を発揮できるプレーヤーへと進化した。

3バックと4バックを使い分ける現在のなでしこにおいては不可欠の存在。左サイドの遠藤純が怪我で長期離脱となってしまっただけに、清水に同様のことが起こらないことを祈りたい。

長谷川唯





1997年1月29日生まれ(27歳)

おそらく現在のなでしこジャパンを象徴する選手だろう。

日テレ・ベレーザのアカデミー時代から才能あふれる攻撃的MFとして世代別代表で活躍。クラブでは2017年から4季連続でなでしこリーグのベストイレブンに選ばれた。

2019年女子ワールドカップでの悔しいラウンド16敗退を経て、2021年1月、初の海外移籍でイタリアのミランへ加入。半年後にはイングランドへ渡り、2022年9月にマンチェスター・シティと3年契約を結んだ。

そこでボランチとしての才能を開花させ、1年目からPFA年間ベストイレブンに選出。チェルシー、アーセナルと激しい優勝争いを演じる今季のシティにおいても欠かせない存在となっている。

長野風花





1999年3月9日生まれ(24歳)

昨年の女子ワールドカップから「なでしこの10番」を背負う長野風花。長谷川が“陽”のボランチだとすれば、長野は“陰”のボランチとして絶妙の相互関係を築いている。

長谷川もパリ五輪出場を決めた先日の北朝鮮戦後、長野とのコンビについてこのように語っていた。

「風花とプレーしていると本当に良いバランスで、お互いがポジショニングを取れているので特に何も言わなくてもしっかり一人が前に行ってというのができます。個人でのミスだけを気にしてプレーできるのは本当にやりやすいです」

2023年に加入したリヴァプールでは今季ここまでWSL、全15試合にスタメン出場。チームの中心として活躍しており、自身初の五輪でさらなる飛躍が期待される。

宮澤ひなた





1999年11月28日生まれ(24歳)

最後は、昨年の女子ワールドカップで大会得点王に輝いた宮澤ひなた。現在は足首骨折からの復帰に向けてリハビリに取り組んでいる。

今のなでしこジャパンは前線に3枚を置く形が基本。その中で、幅を取るだけでなく持ち前のスピードで奥行きを出すこともでき、かつ決定力にも優れた宮澤は稀有なタレントだ。

ワールドカップ後、マイナビ仙台レディースからマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。プレーに力強さが増してきた中での怪我だったが、幸いパリ五輪まではまだ十分に時間がある。

ユナイテッドは今週、宮澤がスパイクを履いてランニングする様子をSNSに投稿。マーク・スキナー監督によれば「(復帰まで)あと数週間」とのことだ。ピッチに帰ってくるのが待ち遠しい。