2024年3月6日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、東京電力福島第一原子力発電所で始まった4回目の汚染処理水海洋放出の安全性について報じた。

記事は、福島第一原発で2月28日午前に、今年度最後となる4回目の汚染処理水の海洋放出が始まり、3月17日までに7800トンを放出する予定だと紹介。地下水の流入による処理水の増加分を差し引くと、今年度は貯蔵タンク10個分に相当する約1万トンの処理水を減らしたことになると伝えた。

そして、東電は原発周辺を定期的に監視し、海水のトリチウム濃度が原発3キロ圏内の10カ所で1リットル当たり700ベクレル、10平方キロ圏内の4カ所で同30ベクレルを超えた場合、海洋への放出を停止するとの基準を定めていると説明。計3兆2000億ベクレルのトリチウムが海洋放出された1〜3回目において、東電が原発から3キロ圏内の10カ所で毎日採取した海水のトリチウム濃度の最大値は同11ベクレルだったと紹介している。

一方で、4回目の海洋放出前の2月7日に東電が、同原発の高温焼却炉建屋で浄化装置の洗浄中に排気口から汚染水が漏れ出すトラブルがあったことを発表したと紹介。東電はすでに汚染土壌を回収し、原発外部への影響は確認されていないと発表したものの、中国外交部の報道官は翌8日に「今回の事故は東電の内部管理の混乱など慢性的な問題を改めて示すもの。福島原発の汚染水浄化施設や海洋排出施設を長期的に安定的かつ効果的に稼働できるか甚だ疑問」と批判したことを伝えた。

記事はさらに、東電が放出する処理水について海水で1リットル当たり1500ベクレル以下まで希釈したものを放出するという基準を設けており、これは世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインで定められた1万ベクレルを大きく下回ると紹介、国際原子力機関(IAEA)が2月29日の声明で、原発に駐在するIAEAの専門家が4回目の放出前に海水で希釈した処理水を独自に分析した結果、放射性トリチウムのレベルが東電の基準値をはるかに下回っていたことを明らかにしたと伝えている。(翻訳・編集/川尻)