仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は8日、「日本のホタテの新たな行き先、災い転じて福となすか」との記事を掲載した。

記事は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出で中国が日本産海産物の輸入を禁止したことで北海道産のホタテが行き場を失ったと報じられたが、それらをメキシコに送って加工し、米国の高級品市場に販売する試みが本格化していると説明。「中国への依存を減らしつつ、価格は中国で加工していた時の約2倍に引き上げ、高級食材として米西海岸で足場を固めようという計画だ」と伝えた。

そして、日本の報道を基に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が主催した8都道県14社からなる視察団が先月、メキシコ北西部エンセナダの水産加工施設3カ所を見学したと紹介。「現地3社ともホタテの取り扱いは初めてではあるものの、米国向けの水産物の取り扱いは豊富で、現地企業の社長も前向きな姿勢を示している」とした。

記事は、中国の禁輸により日本産ホタテの2023年の輸出量は約8.1トンと前年比で4割近く減少し、大きな打撃を受けたとする一方、米国では生で食べられるホタテの需要が高まっていると指摘。中国経由で米国に出荷していたホタテは「加水加工」が行われ生食に向かなかったものの、エンセナダはロサンゼルスまで約5時間で冷蔵品として扱え、生食できることも利点だと伝えた。

その上で、「カリフォルニア州には米国で最多の約5000店の日本料理店があり、すしネタとして人気のホタテは需要も堅調」とし、「災い転じて福となす」になる可能性があると報じている。(翻訳・編集/北田)