Kazuhiko Tamaki

[東京 8日 ロイター] - 林芳正官房長官は8日午後の会見で、2023年度の企業倒産が9年ぶりに9000件台に上昇したとの調査結果が出たことに関し、企業の資金繰り支援に万全を期していくとともに、今後は中小企業の稼ぐ力を高めることで失業率が上がってしまうような水準の倒産件数にならないようにすることが重要であるとの見解を示した。

東京商工リサーチによると、23年度の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年比31%増の9053件と9年ぶりに9000件を超えた。

林官房長官はこの結果について、コロナ禍への対応で無利子融資や給付金など臨時・異例の措置でこれまでの倒産件数が抑制されてきたが、最近はやや増加傾向を示し「コロナ前の平年の水準になってきた」と説明した。

その一方、4月は無担保・無利子融資(ゼロゼロ融資)の返済の「最後のピーク」と指摘。「資金繰り支援に万全を期す」ためにコロナ借り換え保証などの「コロナ資金繰り支援を6月末まで延長した」と述べた。

その上で、今後は「中小企業の稼ぐ力を高めることで、失業率が上がってしまうような不適当な水準での倒産増加が起こらないようにすることが重要である」と述べ、価格転嫁対策や省力化などの生産性向上など総合的に支援していくとの見解を示した。

一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」が参加国拡大に向けた協議を開始すると報じたことに対し、林官房長官は「現時点において、日本とオーカスとの協力について決まっていることはない」と述べた。

同時に「安全保障・防衛面で重要なパートナーである米国、豪州、英国との間で引き続き様々な形での連携を強化し、わが国の防衛力強化に資する取り組みを今後の進めていきたい」と語った。