Q コロナ感染症や円安による物価高騰のために生活が苦しくなっています。借金がかさみ、任意整理をするか自己破産をするか悩んでいます。任意整理と自己破産の違いを教えてください。

 A 任意整理は、債権者(金融機関)と直接交渉し、債務負担の軽減を求める手続きです。

 自己破産は、裁判所を通じて債務の支払義務から免れることを求める手続きです。

 任意整理の場合、交渉相手となる債権者を任意に選ぶことができます。

 これに対して、自己破産の場合、すべての債権者を対象にする必要があります。そのため、親族が借金の保証人になっている場合や自動車ローンを組んでいる場合など、整理の対象から外したい債務が存在することは任意整理を選択する要因になり得ます。

 また、任意整理は裁判所の手続きではありません。期間は数カ月程度で、費用も比較的安価に済むことが多いです。自身の財産が処分されることもありません。

 これに対して自己破産は、裁判所の手続きであり、債権者の情報のほか、借金をした原因や自身の財産状況も報告する必要があります。半年から1年程度の期間はかかります。自己破産に必要な費用も、任意整理に比べると高額です。さらに一定額を超えた債務者の財産は処分されてしまいます。

 ただし、任意整理の場合、その後も債務の支払いを続ける必要があるのに対し、自己破産の場合、免責許可決定が確定すれば、非免責債権を除くすべての債務が免責されます。借金が多額に及ぶ場合や、多重債務状態に陥っている場合には、自己破産が有力な選択肢となるでしょう。

 なお、借金の整理には、任意整理、自己破産だけではなく、個人再生という裁判上の手続きもあります。複数の選択肢の中から、ご自身の状況に合った手続きを選択することが大切です。

(武雄市 弁護士 大和幸四郎)