古賀克徳さんと受賞作「老舗〜有田焼〜」=東京都台東区の東京都美術館

 元高校教諭の古賀克徳さん(63)=小城市=が、美術団体の東光会が主催する公募展「90回記念東光展」で会員奨励賞に輝いた。受賞作「老舗〜有田焼〜」は8月、佐賀市の県立美術館で開かれる巡回展でも見ることができる。

 古賀さんは約10年前から「老舗」をテーマに、鹿島市や大分県日田市豆田町にある白壁の町並みをモチーフに作品を作ってきた。味わい深い店構えを通して、いきいきした商売の歴史や、人の生活の息づかいを伝えている。昨年から、通り沿いに展示スペースが並ぶ、有田町独特の店頭を取り上げるようになった。

 受賞作は、高校生がショーウインドーの飾り付けをする「有田ウィンドウディスプレイ甲子園」開催中の店先を描いた。焼き物が象徴する町の伝統と、高校生のみずみずしい感性がにじむクジラのイラストを同居させた。黒や赤で下地をしっかりと作り込み、時を重ねた建物の重厚感を表した。

 何度も賞候補が続いた中で、満を持しての吉報。「『ようやく』という思いで喜びもひとしお」と語り、「絵で町の活性化にも貢献したい」と話していた。

 佐賀関係は田代利夫さん(唐津市)が常任審査員へ推挙され、金子剛さん(佐賀市)が今展までで同審査員を勇退する。90回記念東光展巡回展は大阪府や岡山県など、全国7カ所を巡る。5年ぶりの佐賀展は8月10〜18日、同市の県立美術館で開かれる。(花木芙美)