集英社オンラインでの前回取材は2022年12月8日。M-1グランプリ2022の決勝進出者が発表されて間もないタイミングだった。有楽町の居酒屋で「M-1敗退」直後という最悪のテンションお構いなしに運ばれてくる分厚い肉を前にしたインタビュー。あれから4か月。季節は巡り、金属バットは新たな道を歩み出す。そんな二人の話を聞くために、編集部は再び有楽町の居酒屋に向かった。(全8回の6回目)

#7 金属バットが感じたM-1とTHE SECONDの違い
#8 もしもTHE SECONDで金属バットが優勝したら果たしたい、たった一つの夢

【金属バットインタビュー】
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THE SECOND決起集会

――注文しましょう。キビナゴの唐揚げお願いします

友保
 山賊焼きください。店員さん、おっとこ前でしたね。ジョン・コナー(『ターミネーター』)っすね。

――それでは乾杯しましょう。小林さんご結婚おめでとうございます。あとTHE SECOND優勝を願って…おめでとうございます。

小林
 もう、優勝しましたか。ありがとうございます。

友保 大丈夫かな(笑)。

――まずお伺いしたいのは、THE SECONDってどういう大会なんでしょうか。

友保
 あれは売れてないおっさんが集められて、殴り合う孤独です。

小林 いや、みんな知らないっしょ、THE SECOND。

――しかし、考えてみたら、世の中の多くの人って負けてるわけじゃないですか。私も負けてますし、そこら辺で飲んでるおじさんたちも……。

小林
 とんでもない発言ですよ、今のは。

友保 ホンマの負けてるおっさんは川沿いにいるんですよ。俺は完全に負けを認めてる時は川沿いで飲みますよ。大阪の川沿いにみんなで集まって。

――人生の敗者復活戦ですね。

友保
 まぁまぁまぁ。まぁ大体はね。

――今回、集英社オンライン的に1個クレームがあるらしいんです。

金属バット
 クレーム?

――前回集英社オンラインで記事を配信したのと同時に、同じ集英社である『メンズノンノ』からも記事が出ていて、それがよかったと。「俺ら一緒に8時間飲み明かしたのに、結果メンノンに全部もっていかれて……金属バットも一流ファッション誌の前では機嫌よくしゃべるんや……」とのことです。

小林
 いやいや集英社の二本柱でしょ。

友保 いやあ、全部まともに答えてますよ。全て真摯に答えております。

――お二人のYouTube『金属バットの声流電刹』でもお話されてましたが、あの取材の翌日にあったメンズノンノの取材に友保さん遅刻されてますよね。

友保
 僕はスーパー遅刻しました。ヴェルファイアに乗っていきました。

M-1ラストイヤー敗退直後のインタビュー

――その申し訳なさから、ちょっと真面目に答えようみたいな、サービス精神があったのではと。

友保
 そんなこと、おまへんで! むちゃむちゃいうのやめてくんなはれよ!

小林 まあ人間なんで、どっちに力を入れるかってのは差が出てきますよね。メンズノンノと集英社オンラインならどうしてもやっぱ差が出てくる。

友保 これね、やっぱ力の差が出てきますね、人間なんでね。やっぱり酒入ってる方がやる気でるよな。酒入ってる方がやる気出るねんけどな……。

――編集部的にはすごく悔しかったそうです。メンズノンノではめちゃくちゃエキセントリックな衣装まで着て。

友保
 あれは流石に変です。

小林 イジってましたね、向こうが。

――でも、集英社オンラインの記事も反響がありました。

小林
 ほんまですか(笑)。

友保 まぁね、タイミングがタイミングでしたからね。M-1でボコボコにされた後にね。

――去年の集英社オンラインのお笑い芸人さんのインタビューで1番読まれたかもしれないらしいです。

友保
 え? 普段どんなにシャバいんすか?

小林 珍しい岩発見したとかそんなんやってるんですか。

友保 それはそれで岩好きとかおるから。

友保 じゃあ、1位は何やったんですか? 全部ひっくるめて。

――エンタメ系だと『ゴールデンカムイ』の野田サトル先生独占1万字インタビューとかですかね。

小林
 勝てるわけないな。

友保 勝てるわけない、最下位は?

――チェックしてないです。でも、やはり衝撃的なニュース記事は読まれますね。あと熊!

友保
 じゃあ、ヒグマ出しますか。

――ヒグマと関わりあるんですか?

友保
 今作りますよ、そんなもの。小林がね、熊に育てられたんですよ。小林の右手食ったら甘いんですよ、ハチミツ食って育ったんで。

小林 ハチミツ食わんて、ハチミツ食うのあいつだけやて。

友保 熊の手甘い。はちみつが染み込んでるから甘いって言う話があるやん。だからお前は黙って「そうですね」て言うとけばそれでえぇから。それで俺は孤児院出身にするから。

小林 嘘はあかんな。

友保 それでえぇからもう。

地上波のゴールデンタイムの金属バットの漫才が見れる

――前回のインタビューから4か月、お二人の中ではどんなことがありましたか。

友保
 そうねぇ……雪が降って溶けて春になって今、花開く時です。

小林 大器晩成ですね。

――今、思えばあの時は……やはり落ち込んでらっしゃったんですか?

友保
 まぁボロボロですよ。あの時は。今となってはいい思い出です。懐かしいです。なんでこんなうまい肉食ってんねやろっていう感じ。

――そして間髪入れずに新しい大会が始まってしまった。

友保
 まぁでもよかった。いや、俺らほんまにね、ムニャムニャしてたんですよ。で、北海道に行った時に、囲碁将棋さんも一緒で。囲碁将棋さんに囲まれて「お前らTHE SECOND出るんだろ? 一緒に盛り上げようよ」って言われて、怖いから「はい」って答えて。

――囲碁将棋さんのどちらに言われたんですか?

友保
 二人ともです。で、そんなこと言ってきはった後に、根建さんが体調不良で休んで。なんやねんマジで、脅しやがって。

小林 1個の盛り上がり要素やな。

友保 そこで言われんかってもどっかで言われてたような気がするな。

小林 大会の情報なさすぎたよな、やるってことだけしかわからない。

――芸人さんの中でもTHE SECONDについて全然情報なかったんですか?

小林
 どうやらタイマンらしい、くらいまではあったすかね。

友保 よぅわからんやったな。

――優勝するには3本ネタが必要だと。

友保
 そうなんですよ。4時間生放送っていうね、しんどいで。

――これまでゴールデンタイムの全国放送に出ることはありましたか。

友保
 小林が1回ありますね。(地元・大阪の)堺東で日本刀振り回して。

小林 高島屋でな。

友保 なので合法的に出るのはうちらは初めてですね。あ、でもあれ『ENGEIグランドスラム』があった。

小林 確かに『ENGEIグランドスラム』なんか数に入れないっすもんね、確かに言う通りやわ。

友保 面白そうではありますよね。

#7へつづく

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取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春