「知らなかった」では済まされない変わった風習がこの世にはいくつかある。3月2日、池袋に“赤い封筒”が落ちていたことがSNS上で拡散されると、事情を知る人たちが震撼した。

この赤い封筒を決して拾ってはいけない

3月2日、とあるXユーザーのポストがSNS上を震撼させた。建物内に赤い封筒が落ちている写真を投稿しながら〈私は知っている この赤い封筒を決して拾ってはいけない事を 池袋西口マジ魔窟でしょ〉とコメント。

いったいこれは何なのだろうか。この赤い封筒にまつわる「知らなかった」では済まされない“変わった風習”について紹介しよう。

赤い封筒の風習があるのは、主に中華圏。“冥婚”と呼ばれるもので、この赤い封筒を拾ったものは、死者との結婚を強制させられる。

赤い封筒の中に入っているのは、亡くなった女性の写真やお金、そして髪の毛など。赤い封筒を拾ってしまったら最後、その様子を物陰に潜んで監視していた、亡くなった女性の親族が現れ、死者との結婚の儀が執り行われることになる。

そのため、“冥婚”の風習が特に強いとされる台湾では、子どもの頃から「赤い封筒が落ちていたら絶対に拾ってはいけない」と教え込む家庭もある。また、赤い封筒が落ちていたらそれだけでニュースになったり、警察に通報されることまである。ただ、通報を受けて駆けつけた警察官もまた、冥婚を恐れてその封筒を拾うことができないというから困ったものだ。

“冥婚”が生まれた経緯とは…

これだけ聞くと少しゾッとする風習だが、できた経緯には家族愛がある。

若くして亡くなってしまった子どもを、かわいそうだから結婚させてあげたいと思う家族が仕掛けるものなのだ。また、封筒を拾ってしまっても、お金を払ったりすることで一応拒否をすることが可能なうえ、仮に死者と結婚することになったとしても、戸籍の上でまで入籍する必要はないとも言われている。

とはいえ、やはり安易に拾うものではないことは確実で、台湾旅行などに行った際には気を付けておきたいことだ。

今回のポストにも、SNSユーザーたちは〈知らなかったでは通用しない世界です〉〈子どもにも絶対拾わないように伝えないと、、、怖い〉と声をあげている。

ちなみに、この冥婚をテーマに2015年、『呪怨』『リング』などで知られる一瀬隆重プロデューサーと、台湾の女性監督、リンゴ・シエがタッグを組み、ホラー映画『屍憶−SHIOKU−』が日本・台湾合作で制作された。

実話をもとにしたストーリーで、日本では2017年に劇場公開。国内のホラー映画好きから「映像がキレイだしストーリーもしっかりしている!」と単純に作品としての評価が高いうえ、冥婚について知ることもできるので、気になった人は観てみるのもいいだろう。

このように、その国ならではの「知らなかった」では済まされない“変わった風習”は他にもある。2月19日放送の『クレイジージャーニー』(TBS系)では、緑のモノを身に着けて海に入ってはいけないという、インドネシアのとある海にまつわる伝説を紹介した。

緑のモノを身に着けていると、南海の女王・ニャイロロキドゥルによって海に引きずり込まれるため、地元民が緑のモノを身に着けて海に入ることはまずない。しかし、観光客全員がそのことを知っているわけではなく、知らずにそのタブーを犯してしまうケースがあるのだ。

また、日本でも変わった風習、言い伝えがある。それは“裏拍手”。手の甲を叩き合わせるように拍手をすることだが、これをすると死者を呼び寄せたり、相手を呪ったりすることがあるのでやめたほうがいい。

だが、“裏拍手”の風習を知っているのは日本人でもそれほど多くない。何も知らない人はもちろん、目の前でこれをされてもスルーをするが、これを信じている人の目の前でするとトラブルになってしまう。「知らなかった」では済まされない…。

海外旅行や日本に住む外国人と交流する際などは、その国の文化をしっかりと調べておくほうがよさそうだ。

文/集英社オンライン編集部