[ルヴァン杯・第5節]浦和2−1川崎/5月24日/埼玉スタジアム2002

 ルヴァンカップのグループステージ突破を目指す川崎にとっては痛い一敗となった。

 今季のルヴァンカップを2分1敗でスタートした川崎は、第4戦で清水に6-0と快勝し、突破の可能性を残して浦和戦へ臨んだ。しかしその浦和戦に連勝してより順位を上げたかったが、逆にグループ最下位へ転落。もっとも最終節の結果次第で逆転での決勝トーナメント進出の芽は残っている。

 浦和戦は3分に左ウイングで先発した瀬川祐輔のゴールで幸先よく先制。しかし、その後は浦和にボールを持たれる時間が続き、後半立ち上がりの51分には、CFホセ・カンテに強烈なシュートを決められる。そして一進一退の攻防が続いた後半は89分にオウンゴールで勝ち越された。

 残念そうな表情を浮かべ、ミックスゾーンに現われたのはこの日、ゴールマウスを守ったチョン・ソンリョンである。

 今季のチョン・ソンリョンと言えば、例年通り正守護神としてシーズンをスタートさせたが、なかなか調子の上がらないチーム状況にあって、ここ数試合はビルドアップで貢献できる新加入の上福元直人に先発の座を譲っていた。

 その面で、浦和戦はチョン・ソンリョンにとっては久々のゲームであった。

 といっても、38歳の守護神はベンチで過ごす時間が続いたとしても、決して準備を怠ることはない。100㌫の力で練習に励む姿が常にあった。その姿勢こそが、誰からも慕われ、鬼木達監督からの信頼も厚い所以なのだろう。

 いつチャンスが巡ってくるか分からない状況だ。それでも気持ちを切らすことはなかった。

「試合に出られていない時に、カミ(上福元)のストロングポイントを見られたのは良かったですし、僕も見習うところを見習って、僕は僕のストロングポイント、セービングのところなどを練習からやっていくことを考えてきました」
 
 昨季、鬼木監督は、どんな年齢になっても周囲から学び続け、成長し続ける彼の姿を称賛していた。

「チャレンジし続けたら何歳でも伸びるんだなと。その姿をいろんな選手に見てもらいたい。変化を恐れない者こそ伸びる」

 浦和戦後「本当は僕が止めなくてはいけなかった」と悔いたチョン・ソンリョンの顔には、守護神としての矜持が表われていた。

 浦和戦では意識していたという、相手の守備ラインの裏へフィードも見せ、後半には好セーブもあった。今後も上福元らとの競争は続くだろう。それでも、彼のようなプレーヤーがチームにいることが、何よりも大きい。敗れたとはいえそれを改めて実感したゲームでもあった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【厳選ショット】ホセ・カンテの豪快な同点ゴール!浦和が鮮やかな逆転勝利!!|ルヴァンGS第5節 浦和2−1川崎

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