パリ五輪出場を決めたなでしこジャパンが、その大舞台で輝くための、ひいてはメダルを獲得するための最善手は? まずシステムを考えるなら、昨年の女子ワールドカップで採用した3-4-2-1だろう。

 先の北朝鮮との連戦(アジア最終予選)から判断すると、4-3-3システムは厳しい。熊谷紗希のアンカーに加え、遠藤純と宮澤ひなた、猶本光が揃って怪我で不在の左サイドも機能していると言い難く、全体的に攻守のバランスが今ひとつ。それに比べれば、3CBの中央に熊谷を置く3-4-2-1のほうがチームとしてしっくりきていた。

 4-3-3システムで戦術の肝になっていた遠藤(左サイドバックを担当)がパリ五輪も怪我で絶望と報じられている事実からも、3-4-2-1で戦うべきだ。遠藤のように左サイドから気の利いたドリブルとパスで局面を前に動かせるタレントがいれば話は別だが、現状、周囲との連係も含め遠藤と同等の働きを見込める選手は見当たらない。

 3-4-2-1システムでベストメンバーを選ぶなら誰か。昨年の女子ワールドカップ以後の試合で、池田太監督はベースを変えていない。そうした現実的な視点も踏まえてレギュラー当確と言えるのは6人。具体的には、GKの山下杏也加、CBの熊谷、右ウイングバックの清水梨紗、MFの長谷川唯と長野風花、右シャドーの藤野あおばだ。

 最終ラインは連係面を考慮すれば、熊谷の右に高橋はな、左に南萌華が妥当。若手有望株の古賀塔子を高橋に代えて抜擢する手もあるとはいえ、高橋は味方のセットプレーで貴重な得点源になる。そこは無視できず、さらに経験も加味するとやはり高橋、熊谷、南の3バックになる。
 
 左のウイングバックは現時点で北川ひかるがベストだろう。本大会で押し込まれる展開もあるはずで、その場合、北川の守備力は重宝される可能性がある。ドリブラーの中嶋淑乃はディフェンスの強度に難がある印象で、メンバーに選ばれたとしてもパリ五輪でウイングバックを任される確率は低いと見る。

 CFの本命は田中美南だろうが、カウンターを狙うなら千葉玲海菜という選択肢もある。裏のスペースに抜けるセンス、スピードを備え、思い切りのいいフィニッシュワークも魅力で、仮になでしこジャパンががっつり引いて速攻を狙う戦い方をするならハマりそうなタレントだ。

 ただ、ポストプレーの質、チャンスメイク、経験など総合的な観点からすると、植木理子よりも田中か。誰を起用するにしても、CFは物足りなさが先行して、決め手に欠けるのが現状だ。

【PHOTO】中盤の底からゲームメイク!なでしこジャパンを牽引した長谷川唯を特集!
 
 左のシャドーは、本大会までにコンディションを戻せれば宮澤で決まり。ただ、現時点でそこは判断しにくいので(ランニングを開始しているが)、宮澤以外の選択肢を考えると、候補者のひとりとして長谷川が浮上する。

 長谷川は、サッカーセンス抜群でなでしこジャパンの心臓と呼べる存在。3-4-2-1システムではここまでボランチを任されてきたが、ひとつ前のポジションで起用する手はある。

 では、空いたボランチに誰を使うのか。そこは、超逸材の谷川萌々子に任せたい。ゲームメーカーとしてだけでなく、チャンスメーカー、プレースキッカーも担えるだけに、そのポテンシャルに賭けてもいい。いずれにしても、谷川の成長次第でパリ五輪に向けてスタメン争いはより激しくなるはずだ。
 
 ちなみに、長谷川をボランチに置けば、シャドーの左は清家貴子というカードもある。ただ、ここはボランチ谷川、シャドー長谷川を推す。複数のポジションに対応可能な清家はスーパーサブとしてベンチに置きたい。

 出場メンバーも未確定の現状でチョイスするのは無謀かもしれないが、ここまでの話をまとめれば、ベスト布陣は以下になる。

3-4-2-1システム
GK:山下
3バック(右から。以下同):高橋、熊谷、南
ボランチ:谷川、長野
ウイングバック:清水、北川
シャドー:藤野、長谷川
CF:田中

 果たして、池田監督の選択は?

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集部)

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