芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。2・3月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。

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 GKは広島の大迫敬介。5試合で2失点。無敗の広島を最後方から支えた。大きなミスもなく安定感抜群。ここ数シーズンで築き上げた3バックとの連係もスムーズで、チーム全体に安心感を与えている。

 ディフェンスは4バック。右サイドは通常、左を主戦場にする鹿島の安西幸輝。爆発的な走力は尽きることがない。時間が経過し使えるスペースが増えれば増えるほど、安西の走力が際立つ。アグレッシブな攻撃性がチームに勢いを与えている。

 今シーズンの右サイドではルーキーの活躍が目立っている。鹿島の濃野公人、柏の関根大輝、磐田の植村洋斗。今後、このあたりの選手もベストイレブンに名前を連ねてくることになるだろう。

 左サイドバックはC大阪の登里享平。川崎で積み重ねた経験とチームの戦術と、登里自身が左サイドバックというポジションを咀嚼して表現する絶妙なポジショニングは、サイドバックというポジションの奥深さを感じさせる。巧みにピッチ中央にポジションを取り、中盤の仕事もこなしながらもその立ち位置で、センターバックのビルドアップに空間と時間を与える。今後のバリエーションも楽しみだ。
 
 センターバックは広島の塩谷司と神戸のマテウス・トゥーレル。対人の強さに加え、攻撃参加も効果的な塩谷。停滞することなく攻守に淀みのない広島のサッカーには欠かせない選手だ。マテウス・トゥーレルは鉄壁な強さを誇る。対人で負けることがほとんどない。クロス対応やカバーリングも秀逸。山川哲史とのセンターバックコンビに穴を見つけるのは難しい。

 中盤のアンカーの位置には湘南の田中聡。球際の強さやボールの配給に優れる田中だが、今シーズンは相手ゴールに近いエリアでも技術を遺憾なく発揮。4ゴール中3ゴールに絡んだ浦和戦で見せた、ペナルティエリア内でのルーレットは圧巻。今シーズンはシュートやアシストが増加しそうだ。

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 攻撃的なMFの右には町田の平河悠。スピードを生み出す足の回転数は漫画の域で、加速が素晴らしい。ステップが細かいがゆえに速い選手にありがちなボールタッチが大きくなることもほとんどない。あまりスペースのないエリアでもスピード感あるプレーが可能。

 映像処理能力優れているので、同じ1秒でも人よりコマ数を多く見ることができるのではないか? と以前から勝手に推測している。ゆえに、スピードに乗った状態でもプレーが正確だ。5節・鳥栖戦での3アシストには平河の魅力が詰まっていた。

 左サイドには鹿島のチャヴリッチ。プレーの引き出しが多く、左サイドに配置されるとその持ち味がさらに発揮されるようになった。他の選手とのコンビネーションが上がれば、さらに魅力的なプレーを見られそうな気配。

 出場時間のこともあり、今回のベストイレブンでは選出しなかったが、外国籍の新戦力では川崎のエリソン、C大阪のヴィトール・ブエノは期待感十分。注目していきたい。
 
 中央にはG大阪の宇佐美貴史とFC東京の荒木遼太郎。開幕3試合連続ゴールの宇佐美。やはり、この選手がゴールを決めるとチームが勢いづく。開幕戦、町田戦のFKは見事。蹴った後に手応え、いや“足応え”を感じて走り出す姿が実に良かった。

 5試合で4ゴールの荒木。そうなんだ。この荒木が見たかったんだ! 持ち前の技術をゴールに結びつけていく荒木。相手に警戒されても、一瞬の隙を見逃すことはない。10ゴールを決めた2021シーズン以上の活躍を今シーズンは期待したい。

 1トップで今回のMVPは磐田のジャーメイン良。川崎戦の4ゴールを含む5試合5ゴール。両手を広げて、俺のところにボールを運んで来い! というようなフォワードではない。献身的な守備も厭わず、サイドに流れて起点を作り、裏にも抜け出す。昇格を勝ち取った昨シーズンの磐田の戦いのなかでも、ジャーメインの活躍は欠かせないものだった。

 そして、J1でも昨シーズンと変わらぬ活躍。周りの選手とうまく関わりながら、得点も奪えるジャーメインを今回はMVPに。

取材・文●平畠啓史

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