期待通りの活躍ぶりと言えば、そうかもしれない。それでも、セットプレーだけで3アシストは、そうそうできるものではないだろう。

 J2リーグで5位の横浜FCは4月3日、第8節で首位に立つ岡山と敵地で対戦。ここまで無敗の相手を3−1でくだした。

 チームの全得点を演出したのは、高精度の左足キックを誇る福森晃斗だ。10分、直接FKで髙橋利樹の先制点をお膳立てすれば、31分にも直接FKで今度は岩武克弥の追加点をアシスト。さらに43分、ユーリ・ララのゴールも福森の左CKから生まれた。
【動画】悪魔の左足、三度! 横浜FCの福森が圧巻3アシスト。岡山戦ハイライト
“横浜FCは福森の左足が大きな武器”と、多くの解説者たちは口を揃える。実際、横浜FCの得点には、今季に札幌から加入した31歳レフティが関与するケースが少なくない。

 開幕の山口戦(1−1)で、中野嘉大が挙げたチームの今季ファーストゴールも、福森の右CKの流れから決まった。5節・群馬戦(1−0)、6節・鹿児島戦(4−0)では、いずれも試合でもCKからアシストをマーク。当時、福森は次のように話していた。

「合わせる選手も多いので、自分はとにかく、狙ってほしいポイントにうまくボールを供給した結果、2試合連続で(ゴールを)取れた。運が良かったかなと思います」

 謙虚に振り返るが、名手ならではのアレンジがあった。

「特に最初から(感触が)悪かったわけではないですけど、微調整の部分だったり、ボールのスピードは少し変えたほうがいいのかなと」

 鹿児島戦では、得点の場面以外でも、CKで惜しいシュートチャンスを創出。「もっと点を取れてもおかしくない感じでした」と福森も手応えを示す。
 
 その手応えが目に見える成果となって表われたのが岡山戦だったが、福森はおそらく満足はしていないはずだ。

「流れからの得点、自分たちが崩し切って得点というのが、まだあまりないと思う。キャンプから、前の3人の動き出しだったり、コンビネーションはやってきているので、そういうバリエーションも増やしていければ」

 セットプレー以外のアプローチでも、相手ゴールをこじ開けられるように。これまで以上に敵陣バイタルエリアで効果的なアクションを繰り出せば、「おのずとゴール前のフリーキックも増えてくるんじゃないかと思います」とも。当然、福森の出番だ。

「もしフリーキックの場面があれば、自分は集中して、蹴るだけ」と意気込む一方で、「前の選手がフリーキックになる前に点を決めてくれれば、チームとしても、点を取ったフォワードにしても、そっちのほうがいい。前の選手が1点でも多く決めて、得点ランキングの上位を占めてほしい」と語る。

 ピンポイントのサイドチェンジや相手の意表を突く浮き球のパス、鋭い縦パスなど、セットプレー以外でも質の高いボールを供給する福森。横浜FCの得点力をさらに高めるために。その左足に今後も注目だ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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