[ルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦]大宮 0−2 名古屋/4月17日/NACK5スタジアム大宮

 J3の大宮とJ1の名古屋が対戦したルヴァンカップの一戦は、パトリックの2ゴールで名古屋が勝利した。

 そのゲームで先発として嬉しいプロデビューを果たしのが、今季アカデミーから昇格した、カナダ人の父と日本人の母を持つ195センチ・84キロの大型GKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(こうと ほりお)だ。

 両チームともに若手やこれまで出場機会が限られた選手らがピッチに立ったなかで、ピサノは先輩DFらと協力しながら完封勝利に貢献。

 長谷川健太監督が「初めての公式戦とは思えないぐらい落ち着いてプレーしてくれた」と振り返ったように、まずまずの初陣と言えただろう。

 本人に自己評価を聞けば悩みながら及第点を口にしてくれた。

「10点中ですか? うーん、そうしたら個人的には6点ですかね」

 その理由は?

「フィードは焦らずに良いボールを配球できた部分はあったと思いますが、クロスの対応は、足の運び方だったりを、あの雰囲気でやっていかなくちゃいけないので、そこを正しく判断することは、もっと磨いていかなくてはいけないと感じました」

【動画】パトリックの2ゴール!!
 
 やはり両サポーターが熱のこもった応援を送るプロのピッチは、想像以上に声が通らず、必死に指示を送り続けた。もっとも「伝える難しさを感じられたことは良かったと思います」とすべてが貴重な収穫だ。

 ランゲラックの欠場があり、リーグ戦ではここ2試合にベンチ入りしていたが、予想よりも早く訪れたチャンスだった。先発を告げられたのは、試合の3日前だという。鳥肌が立つのを感じたが、周りの先輩らがポジティブな声掛けをしてくれた。そのサポートに感謝しながら、無事に試合を終えた後には、多くの祝福も受けた。

「学校の友人とかも、先週からベンチ入りしている時も連絡をくれたりしていました。その支えもあって、今日も試合後に見たらクラスメイトや、ユースの友だちや先輩からも連絡が来ていて、本当に嬉しいです」

 これまで各年代の日本代表にも名を連ねてきた。ルヴァンカップの前日にはパリ五輪最終予選を兼ねたU23アジアカップの初戦、中国戦で、GK小久保玲央ブライアンが活躍する姿もあった。

 名古屋のスタッフには河野和正GKコーチや、元日本代表の楢﨑正剛アシスタントGKコーチらもいる。彼にとっては今、多くのもの吸収し、成長につなげられる環境が整っていると言えるのだろう。

 チーム内のポジションを争う先輩たちはランゲラック、武田洋平、杉本大地と強力だ。その中で揉まれながら、足もとの技術も持つ大型GKの彼がどんな歩みを示すかは大いに注目である。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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