4月17、18日と2日間に渡りサンフレッチェ広島を取材したなかで選手たちのコメントから感じ取れたのは、ミヒャエル・スキッベ監督への信頼だ。例えば、北海道コンサドーレ札幌の前日に全体練習を行なわない異例のコンディション調整(散歩程度で済ますとの情報)を受け、DFの塩谷司は18日の囲み取材で次のように述べていた。

「サッカー人生で(こうした調整方法は)初めてです。意外とこれが上手く行ったりするケースもあるし。(スキッベ監督は)僕らの常識とは違うことをやるので、今回も上手く行くんじゃないですか」

 中3日の連戦中もオフを2日間与える時があるなど、スキッベ監督には常識にとらわれない一面がある。しかしそれがチーム内で不評か言えば、そうではない。実際、GKの大迫敬介も「問題になったことはない。むしろ良いコンディションで臨めたりします」とポジティブな見解を示していた。
 
 今季で在任3年目のスキッベ監督は、ハイプレス&ショートカウンターの戦術をしっかりと浸透させて強固なチームを作り上げている。事実、過去2シーズンはJ1リーグでいずれも3位、今季は8試合を消化してチームを2位に導くなど、好成績を残しているのだ。

 人心掌握に加え、標榜するスタイルを選手たちに落とし込めている手腕も見事で、今やJリーグ屈指の監督と言えるだろう。

 囲み取材でも記者の質問に丁寧に答えるナイスガイであり、その姿を見てきっと彼なら…、と思ってしまった。

 日本代表でも結果を出せるのではないかと。森保一監督を解任すべきと主張しているわけではない。仮に森保監督が北中米ワールドカップ後に退任した場合、その後任に相応しいのはスキッベ監督なのではないかと、勝手ながらそう考える自分がいた。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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