[J1第9節]湘南 0−1 神戸/4月20日/レモンガススタジアム平塚

 ベルマーレ対ヴィッセルを現地で観戦。0−0でアディショナルタイムになって、このまま引き分けかと思ったら、最後にヴィッセルの武藤が決めた。大迫のアシストから冷静にフィニッシュ。勝負強いね。

 リーグ連覇を狙うヴィッセルは、序盤はやや低調だったけど、ここにきて調子が上がってきている印象だ。前節はゼルビアをくだして、そしてベルマーレに勝って今季初の連勝。ここからグッと行きそうだね。

 縦に速いスタイルは健在。チーム全体で迷いなく、戦えていると思う。ベルマーレ戦では、前半は左の初瀬から右に展開するダイナミックな攻撃が目立っていたけど、後半はより縦を意識したアタックで攻め立てる。

 シンプルだけど、単調ではない。つなぐ時はつなぐし、でも無駄なポゼッションではなくて、チャンスと見れば、縦に差す。そのメリハリが本当に効いていると思う。

 そのなかで際立っていたのが、決勝点を決めた武藤。とにかく一つひとつのプレーに馬力があるよね。常に相手の背後を狙って、仕掛ける。サイドに張るだけでなく、中にも入ってくるし、中から外に抜け出す動きも。
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 僕も現役時代にサイドバックもやっていたから分かるけど、あの武藤の動き方は、ディフェンスからしたら“最悪”。少しでも目を離したら、何をしてくるか分からない。本当に気が抜けないよ。

 相手を背負ってキープもできるし、守備も献身的。素早く攻守を切り替えて、サボらずにプレスバック。攻守両面でアグレッシブかつエネルギッシュ。31歳だけど、20代のような働きぶりだよね。

 欧州でのプレー経験もあるから、何気ない場面でも強度が高い。あれが武藤の中ではスタンダードなんだろうね。Jリーグでは、良い意味で異質に見える。

 去年もそうだったけど、充実感が漂っている。それだけに、なんで代表に呼ばれないのか不思議でもある。今の状態をキープして、さらに上がってくれば、全然まだまだ代表で活躍できると思う。森保監督も見ているはずだから、期待したいね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。

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