監督として個人で史上最多となる5回目のコッパ・イタリア優勝を決めたのは、わずか2日前のことだった。5月17日、ユベントスはマッシミリアーノ・アッレーグリ監督の解任を発表している。

 15日のコッパ・イタリア決勝でアタランタを1−0で下し、通算15回目の同大会優勝を飾ったユベントス。2021年に復帰したアッレーグリの第2次政権では初となる、クラブにとって3年ぶりのタイトルだった。

だが、その決勝の終盤、アッレーグリは判定に激高して第4審判に詰め寄るなどし、退場を命じられた。スーツの上着やネクタイを荒々しく脱ぎながら怒りを露にし、翌16日には2試合のベンチ入り禁止と罰金の処分を科されている。

 さらに、現地報道によると、アッレーグリは写真撮影用のセット機材を蹴り飛ばすなどして破損。ユベントスは機材の持ち主であるメディアに謝罪し、損害賠償を申し出たという。
【動画】コッパ・イタリア決勝でブチギレ、レッドで退席するアッレーグリ
「アッレーグリ劇場」はまだ終わらない。ピッチでチームと優勝を祝った際、拍手するクリスティアーノ・ジュントリSDに向けて遠ざかるようにジェスチャー。以前から確執が噂されていたクラブ幹部との亀裂を公にしてしまった。

 ほかにも、『Tuttosport』紙の編集長からは、「新聞に真実を書け」と罵倒され、「両耳を引きちぎるぞ」と脅されたとの批判。17日に両者は和解の声明を出したが、一線を越えた許されない行為との非難の声が寄せられた。
 
 大きな騒動となった一連の行動を受け、ユベントスは「クラブの価値にそぐわない」として、アッレーグリを解任したと発表。お決まりの感謝の言葉もない声明で、かつてリーグ優勝5回を達成した指揮官に別れを告げている。

 イタリアメディアは、ユベントスがただの解任ではなく、正当な解雇となる条件を満たしているか検討中と報じた。解任の場合、契約が1年残るアッレーグリに報酬の支払いが必要となる。だが、正当解雇であれば、高額年俸の負担がなくなる。

 一方で、アッレーグリとともに数々のタイトルを獲得した元ユベントス会長のアンドレア・アニェッリは、SNSに「ありがとう。全細胞でユベントスであることを代表してくれたあなたに感謝」と投稿。かつての盟友が「クラブの価値」を体現したと主張している。

 また、MFアドリアン・ラビオも、SNSで「ユベントス史上有数の勝者の監督として記憶される。違うお別れがふさわしかった。すべてに感謝。幸運を」と投稿した。

 ほかにも、ティモシー・ウェアは「クラブに注いだ情熱と献身に心から感謝したい。自分を信じ、人生を変えてくれたことに感謝。恩を忘れない」と、アッレーグリに感謝している。

 イタリアメディアによると、ユベントスは下部組織を率いるパオロ・モンテーロを暫定監督として残り2試合に臨む見通し。来シーズンに向けては、今季のセリエAでボローニャを躍進させたチアゴ・モッタ監督を招へいするとみられている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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