13日、アスレティック・ビルバオの主将MFイケル・ムニアインの退団セレモニーが、本拠地『サン・マメス』にて行われた。


 今年4月に、40年ぶりのコパ・デル・レイ(国王杯)優勝と、ガバラ(はしけ船)に乗るという夢を叶えた後、ワン・クラブ・マンの“王様”が、シーズン終了後に退団することが発表された。迎えた13日、3万人近くが集結した“ラ・カテドラル”にて退団セレモニーが行われると、燕尾服で登場したムニアインは獲得したばかりのトロフィーにキス。エルネスト・バルベルデ監督やチームメイトの他、かつての戦友や恩師が見守る中でセレモニーが始まった。いくつかの思い出深い映像が流れ、それに選手本人が当時の心境を語るという回顧録スタイルで進行。先の国王杯優勝については、「ベットに入ると、今でもガバラにいる夢を見るんだ。本当に最高だった。アスレティックの素晴らしさを世界に証明できたんだからね」と明かしている。


 また、ホアキン・カパロス氏を筆頭に、マルセリーノ・ガルシア・トラル氏(ビデオ出演)らかつて師事した指揮官からもメッセージが届くと、最後を飾ったのはホセ・アンヘル・イリバル氏だった。“エル・チョポ”の愛称で知られる御年81歳は、ムニアイン(クラブ公式戦通算559試合出場)が唯一越えることができなかったクラブ歴代1位の公式戦出場数(614試合)を保持する大レジェンドだ。そんなイリバル氏は、「親愛なるイケルへ、私にできる限りの愛と感謝を込めて。あなたはこれまでずっと素晴らしいキャプテンで在り続けた。我々はこの先も、あなたを真のスターとして覚えている。選手として、キャプテンとして、そしてアスリートとして」と直筆で綴られた手紙を手渡した。


 セレモニー終了後には、メディア対応を行なったムニアイン。今夏に満了を迎える現行契約の延長を打診されたことを明かしつつ、「スポーツ的な観点から言えば、僕の出番はどんどん減っていた。この決断は純粋にスポーツ的な要素から。心はここに残れと叫んでいるけど、頭と足はそれ以上のものを求めている。コパを優勝した時、正しいタイミングなんだと気付いた」と告白。続けて「クラブと面会した時、大きな愛情を受け取ったよ。ただ僕は、それに感謝を示した上で、自身の決断を伝えたんだ。明白で、迷うことなく、その時がきたと感じ取っていた」と述懐している。


 アスレティック・ビルバオでの美しき物語は、ここに完結する。残しているラ・リーガの3試合というエピローグを最後に。ただ、「もし僕を必要としてくれるなら、次の日にはここに戻ってくるよ」とセレモニーで宣言したように、イケル・ムニアインはいつの日か、再びここで新しい物語を始めるだろう。



【セレモニー】感極まるムニアイン