今後のスプリント、マイル路線を占う重要な一戦

2023年5月31日(水)に浦和競馬場でさきたま杯(JpnⅡ・ダート1400m)が開催される。歴代の勝ち馬にはその時代をにぎわせた名馬が名を連ねているレースだ。今年の中央勢は、かしわ記念で4着と好走したシャマルを筆頭に、重賞5勝の実績馬テイエムサウスダン、昨年のゴドルフィンマイルを制覇したバスラットレオン。地方勢はダートグレードで2勝を挙げてNAR年度代表馬に選ばれたイグナイター、昨年の東京スプリントで勝ち馬と同タイムの3着と善戦したギシギシなど。JRAと地方からスピード自慢が集結した。

来年度には開催時期を6月中旬に移設したうえで、JpnⅠに昇格。上半期の古馬短距離路線の最大目標として整備される。過去10年の傾向からJpnⅡ最後の勝ち馬を導き出す。

過去10年のさきたま杯,ⒸSPAIA
人気別成績,ⒸSPAIA


過去10年で、1番人気が【4-3-1-2】と勝率、連対率でトップ。2番人気は【2-3-4-1】と複勝率90.0%で、3番人気が【1-1-1-7】と続く。6番人気以下で馬券に入った5頭中4頭が地方馬だった。

所属別成績,ⒸSPAIA


所属はJRAが8勝を含む14連対(栗東11、美浦3)とリード。地方馬は大井が2勝をマークし、浦和が2着2回。川崎と船橋が各1連対だった。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢は6歳馬が6連対で最多。勝率、連対率でもトップだった。5歳馬と8歳馬が各5連対で、特に8歳馬は3年連続で連対を果たしている。ほかに7歳馬が3連対。4歳馬が1連対だった。

実績面は、勝ち馬全10頭を含む連対馬19頭に「ダート1600m以下で重賞勝ち、またはGⅠかJpnⅠで2着」の実績があった。また、連対馬17頭が前走でダートグレードに出走し、うち16頭が掲示板内に入っていた。ほかにも前走がかしわ記念で5着以内は【2-3-4-3】で複勝率75.0%と安定感がある。脚質は【逃げ3先行8差し7追込2】と器用に立ち回れる馬が活躍している。


2023年さきたま杯のデータ,ⒸSPAIA

シャマルが貫禄を示す

◎シャマル
栗東所属で、複勝率が44.4%と高い5歳馬。短距離重賞で4勝をマークしている。前走のかしわ記念で4着と、好走データに合致している点は心強い。戦歴から距離短縮はプラス材料で、昨年のさきたま杯で勝ち馬と同タイムの3着、秋のテレ玉杯オーバルスプリントを制した実績を考えれば浦和1400mの適性は高い。自在に立ち回れる強みがあり、好位で流れに乗ったレース運びで昨年の雪辱を果たす。

◯バスラットレオン
地方コースは初めてだが、海外遠征は経験豊富で舞台は不問。芝・ダートを問わない二刀流だ。JRAと海外で重賞を制覇し、ダート1600mのゴドルフィンマイルを逃げて勝っているようにスピード能力も高い。すんなり主導権を握れば持ち前の二枚腰を発揮する強みがあり、海外帰りでも軽視は禁物だ。

▲ギシギシ
過去10年で2勝をマークしている大井所属馬で、こちらも◎と同じく5歳馬。前走の東京スプリントは5着に敗れたが、前走でダートグレードに出走し、そのうち掲示板内に入っていた点はこれまでのデータに合う。このレースは小回りコースを利した南関東所属馬の活躍が目立ち、近5年で1勝、2着3回、3着3回と好走している。持ち前の器用さを生かして上位をにぎわせる。

ほか、JRAのテイエムサウスダンは近走が振るわないが、2021年のテレ玉杯オーバルスプリントを勝利した実績からコース適性は高い。岩田康誠騎手とのコンビで4勝を挙げている点でも注目だ。兵庫のイグナイターは前走のかしわ記念で7着。ただ、昨年の黒船賞、かきつばた記念を連勝したように距離短縮はプラスになる。JRAのコンシリエーレはデビューから【5-0-2-0】と堅実な走り。550キロ超の馬格でもすんなり先行できるスピードがあり、ここでも大崩れはなさそうだ。前走の東京スプリントで4着と善戦した川崎のエアアルマスは、五分のスタートで運べばチャンスは広がる。

《ライタープロフィール》
菊池 敬太
サンケイスポーツで南関東競馬を中心に予想とコラムを掲載。
近況のレース内容や傾向、データのほか、現場取材などで集めた情報をもとに高配当を狙っている。

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